- 2012年12月27日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:台湾
- トピック:死刑廃止
死刑の廃止を求める台湾の活動家。(c)AFP/Getty Images
台湾政府は12月21日、6人の死刑を執行した。これは、当局の死刑廃止の公約を反故にするものだ。
曾思儒、洪明聰、黄賢正、陳金火、廣德強、戴德穎の6名は21日早朝、台湾の複数の場所で、銃殺によって処刑された。
台湾では、今年初めての死刑執行である。2011年には5人の死刑が執行されており、現在は55人が執行を待っている状態だ。死刑囚である彼らには、死刑を免れる術が残されていない。
執行は当局による冷血な殺人だ。このような行為を続けてなお、死刑に終止符を打ちたいという台湾政府を、一体誰が信用するのだろうか。
当局は死刑を廃止し、死刑制度に関する国民的な議論を先導する意向を、繰り返し宣言してきた。
陳守煌法務副大臣は12月19日、「当局は自らのスケジュールにしたがって死刑を執行していくのであり、海外の専門家の声に影響されることはない」と語った。
先月、マンフレッド・ノワク元国連特別報告者(*1)とアイビ・リーデル国連委員会委員(*2)が馬英九大統領を訪問し、政府は死刑執行を停止するように、と要請した。この訪問は、2つの国連人権条約(「市民的および政治的権利に関する国際規約」と「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」)について、台湾政府の実施報告を審査するために予定されている来年の訪問に先立って行なわれた。
刑務所の収容人員オーバーや、大衆が死刑を支持しているようだ、という推定を理由に、人命の剥奪を正当化することは到底認められない。死刑は決して正しい選択ではない。犯罪の防止や抑止、あるいは、いかなる政策の道具としても、決して用いてはならない。
当局は、説得力のない言い訳をするのでなく、あらゆる人々の人権を尊重するという従来の公約を果たし、死刑の廃止に向けて行動すべきだ。
台湾では、死刑囚に恩赦や減刑を求める手立てがない。これらは、台湾の議会が批准した自由権規約に定められている死刑囚の権利である。容疑者の家族は前もって処刑日を知らされない。死体安置所から死体を引き取りにくるように連絡を受けた時に初めて知ることになる。
さらに、台湾の死刑執行には、公正な裁判に対する深刻な懸念がある。今年4月に最高裁判所は、21年前の夫婦殺人で3人に下された死刑判決を、信頼できない自白に基づくものとして却下した。
アムネスティは、犯罪の内容、犯罪者の特徴、執行の方法を問わず、あらゆる死刑に例外なく反対している。
(*1)拷問など残酷で、非人間的な、品位を傷つける処遇や刑罰に関する国連特別報告者
(*2)経済的、社会的および文化的権利に関する国連委員会委員
アムネスティ国際ニュース
2012年12月21日
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