- 2012年12月 6日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
イスラエル政府は西岸地区の入植地を拡大することを発表した。(C) AFP/Getty Images
パレスチナ「国家」の国連決議に対応して、イスラエル政府は西岸地区の入植地を拡大することを発表した。この入植地の拡大は、人権を侵害し、国際人道法に違反する。
入植地建設は強制退去や無数の人権侵害の温床であり、目に余る国際法違反である。占領地からすべての入植者を退去させる第一歩として、イスラエルは入植地およびインフラのすべての建設を即時停止しなければならない。
この発表は、現在のイスラエル政府が人権や国際法をまったく尊重していないことを世界に強く示している。入植地建設は被占領西岸地区のパレスチナ人たちの権利を侵害するもので、いかなる場合においても禁じられている。
イスラエルは11月30日、被占領西岸地区の不特定地域に入植地を建設、拡大するために3000戸の追加を認めたことを明らかにした。
この声明は、ニューヨークでの国連総会の決議でパレスチナが国連の非加盟オブザーバー国家として承認された日の翌日に発表された。
報道によると、拡大のための他の計画の中には、東エルサレムとマアレアドミム入植地の間のE1として知られる戦略地域に予定されているものもあるという。
イスラエル軍は、E1とマアレアドミム入植地区画の住宅地域から20のパレスチナ人コミュニティを強制的に立ち退かせ、移転させる計画だ。それらのコミュニティは約2300名から成り、ほとんどがジャハリンのベドウィンである。
イスラエル当局はコミュニティとは協議しておらず、住民たちは移動に反対している。これらのコミュニティにある家屋と構造物の大部分に取り壊し命令が出ている。
11月29日の国連総会決議があって以来、ベドウィンのコミュニティ近くの入植者たちによる嫌がらせと暴力がひどくなっていると報じられている。
住民によると、子どもたちや羊飼いたちが襲撃されたり、入植者たちが大音響で音楽を流したり、ベドウィンの村むらで投光器を照らしたりしているという。
イスラエル国家となった所にある土地から離れて難民となった1948年以来、ジャハリンの人びとは何度も退去させられてきた。
イスラエルの被占領パレスチナ地域(OPT)への入植政策は、国籍、民族、宗教などの差別が特徴だ。
パレスチナ人の土地に建てられた入植地のすべてが、ユダヤ人専用だ。ユダヤ人であればたとえイスラエルに今まで暮らしたことがない他国からの移民であっても、イスラエルの国籍と法律の保護を受ける権利がある。
パレスチナの人たちはイスラエルの文民法よりむしろ軍法に従わされており、イスラエル人入植地に近づくことも、入植者の道路を使用することも許されていない。そうして彼らは生計のための物資の入手を禁じられ、移動も制限されている。
また入植者はかなりの金銭面などの便益を受けており、パレスチナ住民に帰属する土地と天然資源の開発を許されている。
第4ジュネーブ条約第49条は、占領する側の権力が自国の市民を占領地域に移住させることを禁じている。
被占領西岸地区での入植地建設は、今年ずっと継続された。最近では11月6日、住宅省が東エルサレムでの1285戸と西岸地区北部のアリエル入植地建設の入札を行なった
イスラエルは以前にも、国連でのパレスチナの外交的取り組みに対応して、入植地拡大のための新計画を発表した。
2011年11月3日、パレスチナが国連教育科学文化機関(ユネスコ)に加入した後、イスラエル政府は東エルサレムと西岸地区の入植地であるエフラットとマアレアドミムに約2000戸の住宅を新たに建設すると発表した。
その12日後の11月15日に住宅省は、グリーン・ライン(1949年の休戦ライン)を越えた土地での2230戸の新住宅のための入札を発表した。
アムネスティ国際配信ニュース
2012年12月3日
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