- 2012年1月30日
- 国・地域:中国
- トピック:先住民族/少数民族
警察とチベット人デモ参加者の、死者を出すほどの激しい衝突を目撃した人の証言に基づいてなされた報道を、中国当局は、「誇大な宣伝」として退けている。
「中国政府は、すでに一触即発の状態となっているチベット情勢に対して、チベット人側の長年に渡る不満を解消するのではなく、抑圧と取り締まりの強化で対処しています」と、アムネスティのアジア太平洋地域部長であるサム・ザリフィは述べ、
「緊張状態が暴動へと激化した2008年以来、チベット人居住区の状況は改善されていません。宗教や文化の自由に対する制限への不満は改善どころか、悪化しています」と、続けた。
中国国営通信新華社は、中国の治安部隊が、23日タンゴ県(中国名、炉霍)においてデモの参加者に対して発砲し、少なくとも1人が死亡したと報道している。
警官5人とデモ参加者数人が負傷したと伝えられ、デモの参加者たちが商店を破壊したとも伝えている。
独立のチベット人情報筋がアムネスティに伝えたところによると、少なくとも36人のデモ参加者が負傷し、その内の何人かは重体であるという。さらに、24日には、四川省の別の場所で警察が発砲したという新たな報道も入ってきている。
未確認の報道によれば、24日、治安部隊が四川省のセルタル/セルダ県(中国名、色達)でデモ参加者に発砲し、2人が死亡、他にも負傷者が出た模様である。
アムネスティは、独自にはこの報告を確認できてはいない。しかしながら、2週間も経たないうちに、チベット人のデモ参加者に対する警官の発砲が伝えられたのは、これで3度目になる。
外国の報道機関や監視員はこの地域への立ち入りを許されておらず、事件について確認することが難しくなっている。当局は23日の事件について「調査する」と語っている。
「調査は独立、公正で実効性のあるものであることを中国政府は保証しなければなりません。過剰な武力行使に関する他の報道についても速やかに調査を行うべきです」とサム・ザリフィは語った。
たとえば、国連の超法規的、即決あるいは恣意的処刑に関する特別報告者のような、独立した監視員の入国を許可するよう、アムネスティは中国政府に再度要請した。
「チベットなどの少数民族の居住区において、中国政府は抑圧的な行動を徐々に強めています。私たちがさらなる暴力や流血の事態が起きることを懸念しているのは、そのためです」と、サム・ザリフィは述べた。
「中国の治安部隊は自制心を持って行動しなければならず、銃器はやむを得ない場合にのみ、しかも最後の手段としてしか使用すべきでないのです。致命的武力は、厳密に言えば、命を守るためという状況においてのみ、意図を持って使用することが許されるのです」
中国による支配のもとでの宗教や文化に対する抑圧に抗議して、昨年の3月以来16人のチベット人が焼身自殺している。
昨年11月、中国政府に宛てた共同書簡の中で、アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは、抗議デモの根本にある原因に対処するよう、当局に要請した。
アムネスティ発表国際ニュース
2012年1月24日
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