- 2012年1月16日
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:
囚人の恩赦は今年に入って2回目であり、総選挙後、ビルマ政府となってからは4回目となる。これらをあわせると、少なくとも477人の政治囚が釈放されている。
しかしながら、1000人を越える政治囚が、いまだに収監されている可能性がある。彼らの多くは良心の囚人である。当局は、アムネスティの要請にこたえ、政治囚全員を釈放するまで恩赦を続けなければならない。
「今回の政治囚の釈放は、進歩に向けた重要な一歩ではあります。しかし、残されたすべての良心の囚人に対して、門はさらに大きく開かれなければなりません」とアムネスティのビルマ調査員であるベンジャミン・ザワッキは述べた。
「当局は、今すぐに良心の囚人を全員解放し、職務を完遂するべきです」
アムネスティは、「釈放された囚人の中には、条件付きでの釈放となっている者もいる」という報告について、懸念を表明している。アムネスティは、釈放された囚人が再び政治活動に関わり、表現や平和的な集会、結社の自由に対する権利を十分に行使することを許すよう、当局に要請している。
「反体制派の活動家たちを収監させるに至った彼らの政治活動は、結果的に、今日の釈放をもたらす推進力となったのです。当局は、抑圧の方向に戻るのではなく、前に進み続けなければなりません」とベンジャミン・ザワッキは述べた。
現在ビルマ国内で収監されている政治囚の人数については、政府が示す数字と、反政府派の団体が示す数字との間に大きな差があり、議論の余地がある。
この数字の差と政治囚の定義を一致させるため、国民民主連盟(NLD)を含む、委員会を招集するための助力を国連に求めるよう、アムネスティはビルマ政府に対して呼びかけてきた。
2011年の11月19日、「囚人の中には、政治囚と呼ぶべきではない囚人たちもいる」とテインセイン大統領が語ったと、報道された。しかしながら、テインセイン大統領の上級政治顧問であるコウコウラインは、2011年の10月に、「約600人の良心の囚人が、いまだにビルマ国内に収監されている」と語ったと報道されている。この数字は、このたび政府が釈放したと発表した、651人という数字と一致し得る。また、コウコウラインは、この数字の差異は「良心の囚人と一般の囚人の定義の仕方による」という発言もしている。
「ビルマ政府は、上層部レベルの意志で政治囚を収監していることを認めるべきです。定義に関する問題のために、人びとが将来的に不当な刑期を受けることにならないことを保証するためにも、このことは極めて重要です」とベンジャミン・ザワッキは述べた。
「これまでのところ、この度の釈放の「質」は高いものの、最終的に重要になってくるのは「数」です。私たちは、このような著名な活動家の釈放を歓迎しますが、その一方で、ビルマ政府には、残った良心の囚人の即時かつ無条件の釈放を強く要請します」
背景
テイチュエとガンビラは2007年9月の「サフラン革命」の指導者だった。クントゥンウーはシャン民族民主同盟の議長で、ミンコーナインは「88年世代学生グループ」の指導者である。
2011年5月16日、ビルマ政府は国内のすべての囚人の刑期を一年減刑し、すべての死刑判決を終身刑に軽減した。このことで刑期をほぼ終わらせた政治囚のうち、少なくとも72人が釈放された。
2011年12月12日、ビルマ政府は6359人の囚人を大赦したその一環として、241人の政治囚を釈放した。2012年の1月2日には、終身刑を除くすべての囚人の刑期が、それぞれの刑期の長さに合わせて減刑され、すべての死刑囚は終身刑になった。少なくとも34人の政治囚が釈放された。
アムネスティは2011年の10月17日から11月4日まで、ビルマ国内のすべての良心の囚人員の釈放を求めて、署名活動を行った。世界中77ヵ国の3万750人を越える人びとが、署名に加わっている。
アムネスティ発表国際ニュース
2012年1月13日
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