- 2011年12月28日
- 国・地域:シリア
- トピック:変革を求める中東・北アフリカ
今週シリアでは、改革を求める抗議が始まって以来、最も多くの死傷者が出た。政府軍に襲撃された、北部イドリブ県の村カフル・アウィードでは、およそ70人の軍の離反者を含む、170人あまりが殺害されたと報じられている。数十人の政府軍の兵士もまた、殺害されたようだ。
シリア・アラブ通信社は20日、シリアのアサド大統領が、「テロリズム」を目的として武器を装備した者や、それを助けた者に、死刑を課す法律に署名したと報道した。
「シリア当局は、反体制派の人びとは「武装したテロリスト」である主張し続けています。そのような状況下で、同法は、深刻な結果を引き起こす可能性があります」とアムネスティの中東・北アフリカ局長フィリップ・ルーサーは述べた。
「当局は、ただちに同法を撤回しなければなりません」
カフル・アウィードでは20日、当局の襲撃後、100体あまりの遺体が目撃されている。「彼らは、逮捕を恐れて自宅から逃亡した住民です」と襲撃を目撃した男性はアムネスティに語った。そのうちの何人かは、以前から拘束されていた者であるとみられている。
「遺体が並ぶ様は、想像を絶するものでした。『なぜ、彼らは死に、私は死ななかったのか』と、私は自分自身に問いかけています」
「イドリブ県への攻撃は今日も続いています。私たちは、助けを求め続けているのです」と、男性は語った。
村の農場に隠れていた、およそ40人あまりの軍隊の離反者も、その場で直ちに射殺された、と目撃者の男性は語った。彼らの遺体は、治安部隊が持ち去った。
シリアでは、3月中旬に反体制派への抗議行動が始まって以来、数千人の人びとが逮捕されてきた。多くの人びとが、隔離拘禁され、拷問や虐待を受けている、とのうわさが飛び交っている。アムネスティは、4月以降、拘禁中に死亡した200人以上の人びとの名前を受け取っている。
同国における殺りくに対する国際的な反発が強まるなか、国連総会は19日、アサド大統領による人権侵害を非難し、暴力の即刻停止を行うよう求める決議を、圧倒的多数で採択した。
2011年の4月以来、アムネスティは国連安保理に対し、シリアの事態を国際刑事裁判所(ICC)の検察官に付託するよう求めてきた。またアムネスティは、シリアへの武器輸出を広範囲にわたり禁止し、アサド大統領およびその他の、深刻な人権侵害に加担した者の資産を凍結するよう、要請している。
アムネスティ発表国際ニュース
2011年12月22日
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