- 2011年12月19日
- 国・地域:日本
- トピック:国際人権法
アムネスティ日本は名古屋刑務所の受刑者から、「刑務所内の工場に入出する際に、全裸検査が行われている」という報告を受けていました。受刑者によれば、同検査は身体的かつ精神的に非常な苦痛を伴うものであり、近年出所した元受刑者からも、同様の訴えが寄せられていました。
これらの報告を受けて本年5月27日、アムネスティ日本は、受刑者の尊厳を尊重する処遇を名古屋刑務所に要請しました。しかし6月20日、同刑務所参観をおこなったアムネスティ日本の会員に対し刑務所側は、全裸検査を実施していることを認めた上で、「経験則上必要なのでやっている」と口頭で回答しました。
アムネスティ日本は、その後、工場に出入りする際の身体検査が、全裸検査からパンツをはいての検査に変更されたとの情報を得たため、11月下旬に事実確認の質問書を名古屋刑務所に送付しました。これに対して平成23年12月12日付の文書で同刑務所より、「本年10月から工場就業受刑者を対象として、パンツを着用させて身体検査を実施する方法に変更している」との回答を得ました。
アムネスティ日本は、今回の処遇改善を評価するとともに、今後も国際人権基準にのっとった刑務所処遇の改善を行うよう求めていきます。
日本は、国連の自由権規約や拷問等禁止条約の批准国として、刑事施設のあらゆる被拘禁者について、非人道的かつ品位を傷つける取り扱いを禁止する義務を負っています。受刑者の人権に関わるこのような国際基準は、国連の「被拘禁者保護原則」や「被拘禁者取扱いのための基本原則」でも確認されています。また、「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」は第1条で、被収容者への人権の尊重を目的とすると明記し、2006年の「刑務官の職務執行に関する訓令」の第20条では、「身体の検査を行う場合には、出来る限り、被検査者のしゅう恥心を損なわないように配慮しなければならない」と規定しています。
アムネスティ日本は、法務省に対し、名古屋刑務所に留まらず、刑務所内における被拘禁者の処遇について、関連する国際人権基準および国内法に沿った取り扱いを徹底するよう、強く要請します。
アムネスティ日本発表ニュース
2011年12月19日
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