- 2011年10月14日
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:
いまだに刑務所に残されている政治囚の大多数が、良心の囚人である。
「この度の政治囚の釈放は、とても喜ばしいことです。しかし、当局が先日発表した、ビルマの政治改革の公約と一致していません」と、アムネスティのビルマ調査員であるベンジャミン・ザワッキは述べた。「実質上の数の増加が見られなければ、大きな前進としてではなく、改革のための努力が緩んだとみなされることでしょう」
2007年後半から、約2000人もの人びとが、ビルマの政治的理由で刑務所に投獄された。そのおよそ半数は、2007年に起こった「サフラン革命」に平和的に参加したために投獄されている。今回釈放された人びとの中には、「88世代学生グループ」の一員で、そのデモの参加者であった、ゾーテッコーコーが含まれている。2009年9月に恩赦を受けた囚人の中には、127人の政治囚が含まれていた。
「今日の恩赦によって、ビルマの新政権がそれ以前の軍事政権と明確に異なるとは思いません」とザワッキは述べた。
「もし当局が、真剣に改革のための責務を全うしようとするなら、今回の釈放は、早急な実現が求められるすべての政治囚釈放に向けた、初めの一歩にすぎないのです」
もし当局が、国際的に認知された犯罪の容疑が政治囚にあるというならば、即時に、公の場で公平な裁判を行うべきである。そうでなければ、すみやかに政治囚を無条件で釈放するべきである、とアムネスティは述べた。
「当局は、偽りの起訴や無制限の拘束をすべきではありません」とザワッキは述べた。
ビルマでは、政治囚はつねに、曖昧に規定された法律によって起訴される。その法律はほとんどが安全保障や治安に関して定められたものであり、当局によって拡大解釈されたものである。
ビルマにおける刑務所の環境は、国際基準から程遠い。食事、水、医療対応が不十分であり、多くの政治囚は家族から遠く離れた所に収容されている。そしてそのほとんどが、長期にわたって独房に拘禁されるなど、拷問や虐待にさらされている。
「政治囚の釈放は、前向きな措置です。しかし、ビルマの抑圧的な司法制度や、治安組織の変革は、なかなか実現されません」とザワッキは言う。
アムネスティは、ビルマ当局に対し、今回の囚人の釈放に続いて、政治活動への抑圧をやめるよう呼びかけた。
「今日釈放された政治囚の多くは、釈放後に再び政治活動を続けるでしょう。彼、彼女らがまた刑務所に放り込まれるということはあってはなりません」とザワツキは言及した。
これまで、多くの政治囚は、釈放直後に再び逮捕されている。ビルマの反体制派のリーダーであるアウンサンスーチーは、21年間のうち3回にわたって拘禁・釈放を繰り返した。そして15年を拘禁下で過ごし、2010年11月に解放された。
2011年9月27日の国連総会において、ワナ・マウン・ルウィン外務大臣は「ビルマ政府の行動は、確固として明白なものであり、後戻りすることはありません」と発言した。
「ビルマ政府はこの主張を掲げるだけでなく、少数民族に対する広範で組織的な人権侵害を止めるなど、人権の状況を改善しなくてはなりません」とザワッキは述べた。
「当局による政治的改革のための主張が意味あるものとなるには、自国民への人道に対する罪に終止符を打つものでなければならないのです」
アムネスティは、ビルマにおける深刻な国際法上の重大な犯罪について、国際調査委員会を設置するよう要請し続けている。
<背景情報>
2011年1月の国連人権理事会において、ビルマ当局は政治囚の存在を否定し、刑務所にいる者はすべて犯罪者であると主張した。2011年8月、ミャンマー内務大臣であるコーコー少将は、ミャンマーの人権状況に関する国連特別報告者に対して、良心の囚人と言われている『100人以上もの囚人』は、犯罪者であると述べている。
今回釈放された良心の囚人には、コメディアンのザーガナーが含まれている。ザーガナーはサイクロン・ナルギスの被害者への人道支援が原因で、2008年6月に投獄された。
2007年10月、アムネスティは良心の囚人であるテーチュエー氏と、同氏が拘禁される数時間前に話をした。彼は64年間の禁固刑となり、ブーディーダウン刑務所にある、たった2.4×3メートルの独房に投獄されている。同刑務所は、ヤンゴンにある彼の実家から1000キロ以上も離れている。テーチュエーは刑務所で拷問を受けている。テーチュエーが、11日に釈放された人びとに含まれているかどうかは不明である。
アムネスティ発表国際ニュース
2011年10月12日
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