- 2011年9月30日
- 国・地域:大韓民国
- トピック:死刑廃止
韓国では1997年12月に最後の死刑が執行され、23人が処刑された。2011年9月8日現在、60名が韓国の死刑囚監房に残っている。
現在、韓国議会の立法司法委員会において、死刑廃止に向けた法案が審議待ちである。韓国が最後に死刑を執行してから5000日が経っているものの、逆行して正義の名の下に人権を侵害しないようにするためには、国内法から死刑を排除することが唯一の道である。
死刑は、生きる権利の侵害であり、究極的な意味において残虐で非人道的かつ品位を傷つける刑罰である。死刑はしばしば差別的に用いられており、貧困層や社会的に排除された人びとに偏って適用されている。
政府が「効果的な治安政策」として死刑制度の維持を正当化する場合もあるが、他の刑罰に比べて、死刑が犯罪をより効果的に抑止しているという根拠のある証拠はない。国連の死刑に関する最新の研究でも、同様の結論に達している。
一部の国では、訴訟手続きにおける欠陥が、検察側の不正や独立性が欠如した司法制度そして不十分な法的弁護により、深刻化している。死刑制度が存続する限り、無実の人を処刑してしまう危険性は決してなくならない。
死刑の廃止に向かう世界的な潮流が、現実に存在している。今日、世界の3分の2以上の国が、法律上あるいは事実上死刑を廃止している。死刑存置国の中でも、実際に頻繁に死刑を執行しているのは、それらの半分以下の国々にすぎない。また死刑存置が強く支持されている国々でも、死刑執行の制限あるいは法律上の廃止に向けた政策が取られている。米国では、2007年以降、3つの州であらゆる罪に対し死刑が廃止されている。
2010年12月には、国連総会で死刑廃止を視野に入れて死刑の執行停止を求める3回目の総会決議が、これまでにない多数の支持を得て採択された。
アジア太平洋地域において、死刑存置国は41カ国のうち14カ国だけである。その中の一ヶ国であるモンゴルは、2008年以降死刑を執行していない。この地域で死刑を廃止するという決意を反映し、死刑廃止をめざす独立した地域ネットワークとして、死刑に反対するアジアネットワーク(ADPAN)が2006年に設立された。このネットワークには、23カ国からメンバーが参加している。
2010年2月、韓国の憲法裁判所は、5対4の評決で下された判決の中で、死刑は韓国の憲法が保障する「人間の尊厳と価値」を侵害するものではない、と述べた。とはいえ、死刑が合憲であると支持した5人の裁判官のうち2人は、死刑制度の廃止あるいは改正が望ましいと述べている。アムネスティは、韓国当局に対し、死刑を廃止する行動をただちに起こすよう求める。
アムネスティ発表国際ニュース
2011年9月8日
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