- 2011年8月 4日
- 国・地域:エジプト
- トピック:変革を求める中東・北アフリカ
ムバラク前大統領、ハビブ・イブラヒム・エルアドリー前内務相、その他6人の前政権幹部は3日、カイロにおいて裁判にかけられる。
ムバラク前大統領が退陣する前の今年1月、治安部隊がデモ参加者を銃撃した。ムバラク前大統領らはその関連で、計画殺人および殺人未遂の罪に問われている。有罪となった場合、死刑が言い渡される可能性もある。
「今回の裁判は、ムバラク政権下で起こった犯罪について前大統領とその中枢グループの責任を問う、エジプトにとって歴史的な機会です」と、アムネスティ中東北アフリカ部長であるマルコム・スマートは述べた。
「エジプトにおける過去の免責の風潮を真に打ち破る裁判にするためには、公正さと透明性が保証されなければなりません。そうでなくては、正義はもたらされません。裁判は公正であるだけでなく、とくに抗議行動の中で亡くなった人びとの遺族の目に、公正であるように映らなければならないのです」
今年1月から2月にかけて、ムバラク政権の退陣を求めていた反政府デモ参加者に対して、警察が発砲を命じたと伝えられた。これにより少なくとも840人が殺害され、数千人が負傷した。
2月にムバラク大統領が辞職した後、被害者の家族は、治安部隊による殺害について前大統領とその他の加害者の責任を追及するために、繰り返しキャンペーンを行った。
7月、 数千人もの被害者家族が1月の抗議行動の中心拠点であったタハリール広場に再び集まり、軍部と暫定政権に裁判手続きを早めるように要求した。
判事が裁判のようすをテレビで放映することに合意した決定を、アムネスティは歓迎する。しかし裁判所は、審問を傍聴しようとする人びとが不当な扱いを受けることがないよう、保証しなければならない。
裁判の秩序を維持するために、裁判長は、裁判の傍聴を希望する弁護士、報道機関、被害者家族に事前に申請書を提出するよう求めている。このことは、被害者の家族が治安部隊によって強制的に追い払われる恐れを抱かせる。
「当局は、裁判を傍聴させないために治安部隊が過剰な武力に訴えることがないよう、保証しなければなりません」と、マルコム・スマートは述べた。
アムネスティ発表国際ニュース
2011年8月2日
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