- 2011年7月22日
- 国・地域:ソマリア
- トピック:子どもの権利
報告書「銃弾が飛び交う中で:脅威にさらされるソマリアの子どもたち」は、現在起こっている武力紛争を余すところなく伝えている。ソマリアの子どもたちは、子ども兵士として徴用され、教育を受ける機会がないまま、人口が集中する地域への無差別攻撃を強いられる。子どもたちは怪我をし、ときに命まで奪われる。
「ソマリアは人道上の危機にあるだけでなく、人権の危機ならびに、子どもの危機にも直面しています」と、アムネスティのアフリカ部副部長ミシェル・カガリは述べた。
「ソマリアの子どもたちは、つねに命の危険にさらされています。殺されたり、徴用されて最前線に送られる可能性もあります。音楽を聴いたり、好きな服を着ただけで、反政府の武力勢力アル・シャジャブによって罰せられるかもしれません。両親を失ったために自活しなければならないかもしれません。あるいは、適切な医療を受けられないだけで、命を落とすことかもしれないのです」
「子どもたちが人道危機に直面しているのは、アル・シャバブがここ数年間、支援へのアクセスを拒んでいるためです」
本報告書では、ケニヤやジブチに暮らす、200人を超える子どもや大人のソマリア難民の証言の分析をしている。多くの地域では、武装勢力による子どもの徴用が、南・中央ソマリアに人びとが逃れる原因となっている。
ソマリア暫定連邦政府は、武力紛争の中で子どもを徴用し、利用し、殺害し、傷を負わせているとして、国連からも指摘を受けている。暫定政府は、子どもの権利を尊重することに尽力したものの、子どもの強制的な戦闘への参加をやめさせるための具体的な手段を講じてこなかった。
無差別攻撃により、都市部では学校の建物が全壊、あるいは損傷しているため、ソマリアにおける教育は難航している。モガディシオでは、子どもや教師が通学中に殺害されたり怪我を負わされることを恐れ、多くの学校が閉鎖されている。
主要な反政府の武装勢力であるアリ・シャバブは、教育の権利に関して制限を課し、一部の女子生徒が学校に行くことを拒んでいる。また特定の科目が教えられることを禁止し、子どもたちに戦闘に備えることを教え込む場として、学校を利用している。
アリ・シャバブはまた、電話あるいは金銭をわたす約束をして子どもを惹きつけたり、学校や公共の場を襲って誘拐をするといった、恐るべき徴用手法を取りつつある。
アムネスティがインタビューをした子どもたちは、学校が攻撃され教師が殺されるのを目撃している。また子どもたちは、何人かの少女たちが戦闘員と結婚することを強要されたと語った。
モガディシュ出身の13歳の女の子は、アムネスティに次のように語った。
「アリ・シャバブがある朝やってきて、子どもたちを全員教室の外に出すよう先生に言いました。外には車が停まっていて、子どもたちは強制的に車に乗せられました。一人の先生は従うことを拒んだために、殺されました。彼は勇敢でした。たった一人で、女の子の権利のために立ち上がったのです」
常日頃から鞭打ちの被害にあっている子どもたちは、武装したイスラム勢力による公の場での石打ちや切断や殺害を含む、悲惨な人権侵害を目撃している。
ソマリア難民は大人子どもを問わず、紛争の中で体験し、あるいは目撃した人権侵害の結果、大きなトラウマを抱えている。
国際社会は、家族と離れ離れになったソマリアの子どもたちを対象とした保護を拡大し、彼らへの心理的な支援や教育プログラムを充実させなくてはならない。
「これは終わることのない紛争であり、子どもたちは日常的に想像を絶する恐怖に直面しています」とミシェル・カガリは述べた。「もし世界が、多くの子どもたちに影響を及ぼしている戦争犯罪を無視し続ければ、彼らは強い疎外感を持った世代になりかねません」
アムネスティ発表国際ニュース
2011年7月20日
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