- 2011年4月28日
- 国・地域:米国
- トピック:
「漏洩した情報は、グアンタナモ収容所についてアムネスティがこれまで言い続けてきたことを裏付けています。収容者の多くが誤った理由で拘束され、米国の法制度の下で裁かれることもなく、何年も拘禁されているのです」とアムネスティの米州プログラム部長のスーザン・リーは述べた。
「当局は、いまだに収容されている人びとを、軍事委員会ではなく米国の民間法廷で裁くか、もしくは釈放すべきです」
先週末、同収容所の被収容者の情報を含む機密書類をメディアが公表した。
収容されていたおよそ800人のうちの大部分が、起訴されないまま釈放されている。これまで、軍事委員会で有罪判決をうけたのはたった5人で、民間法廷で裁かれたのは一人だけである。
起訴されることなく釈放された人びとに対し、米国当局は補償や、いかなる形での救済策もまったく行っていない。
「何年にもわたり不法に拘禁されていた数百人もの被収容者たちのうち、最終的に起訴されたのは50人にも満たないようです。米国政府は、いまだどの元被収容者にも賠償を行っていません。米国当局が関与した、収容者に対して行われた虐待に関しても、当局は説明責任を果たしていません」とスーザン・リーは述べた。
グアンタナモ収容所には現在172人が拘禁されているが、そのうち米国当局が裁判にかけることを予定している人物は、ほんのわずかにすぎない。
「収容者のほとんどは、無期限に続く拘禁に苦しんでいます。かりに裁判にかけられたとしても、公正な裁判の国際基準を満たしていない、廃止されるべき軍事委員会で審理はおこなわれています」とスーザン・リーは述べた。
「同収容所の状態は近年、改善されたかもしれませんが、閉鎖には程遠い状況です。グアンタナモは米国政府の恥部でありつづけています。政府は、被収容者に対してきちんとした救済策を準備し、真実と正義、そして償いを行うべきです。
2009年、オバマ大統領の指令により同収容所を見直す特別班が設置された。特別班は、いまだに拘束されている収容者のうちの36人は、米国で起訴されるべきだと勧告している。
特別班はまた、その他の48人については起訴や裁判なく拘禁し続ける必要があり、残りの被収容者は米国以外の国に移送されるべきだと勧告している。
いまだに同収容所に収容されている人びとの半数以上がイエメン国籍であるが、そのうちの36人は、特別班によって本国への送還を承認されており、その他の30人は、イエメンの治安状況を考慮したうえで、将来的に移送の可能性がある者として指定されている。
しかしながら、同収容所からのイエメンへの移送は、2010年6月のモハメド・オダイニ氏の本国送還を除き、2009年12月以降停止されたままである。
アムネスティ発表国際ニュース
2011年4月26日
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