- 2011年3月 8日
- 国・地域:エジプト
- トピック:変革を求める中東・北アフリカ
アム・アブダラ・アル・ベイリー(Amr Abdallah Al Beheiry)は最高軍事裁判所で、勤務中の公務員に暴行を加えた罪と、外出禁止令を破った罪で有罪判決を受けた。
2月26日土曜日の早朝、カイロのエジプト議会の外で、憲兵隊と軍隊が過剰な武力を行使して抗議活動を解散させようとする中、彼と彼のいとこ、および他の抗議者たちは棒で打たれ、拘束されたと伝えられている。数人の抗議者はスタンガンで打たれたとの報告もなされている。
アム・アブダラ・アル・ベイリーは当初、軍警察により解放されたが、直後に再逮捕された。これは明らかに、他の抗議者が彼の怪我の様子を撮影したためであると思われる。
アム・アブダラ・アル・ベイリーと彼のいとこは拘留中に電気ショックを浴びせられ、暴行され、拷問されたと伝えられている。
彼のいとこと他の抗議者たちは、26日の朝遅くに解放された。
「アム・アブダラ・アル・ベイリーに対する判決は取り下げられるべきであり、彼がもしただ単に平和的に抗議活動をしただけで拘束されたのであれば、解放されるべきです。当局は、平和的な抗議者たちを軍事裁判所で審理しておきながら、改革を推進していると主張することはできません」とアムネスティの中東・北アフリカ副部長ハッシバ・ハジ・サハラウイは述べた。
軍事裁判所は公正な裁判の国際基準を満たさないことで知られており、アムネスティは、軍事裁判所で一般市民の裁判が行われることに反対している。
アム・アブダラ・アル・ベイリーは、彼に対する判決を最高軍事控訴裁判所に控訴することができるとされている。
タハリール広場と議会の外で現内閣の解散を求める抗議者たちに対する弾圧は、26日午前中を通して続けられた。
複数の抗議者が拘束され、タハリール広場にあるエジプト考古学博物館の裏にある軍警察の施設に連れて行かれた。過去にその施設で拘留者に対する虐待が行われたことを、アムネスティは記録している。
26日午前8時頃、軍警察の高官が抗議者たちに対し、それまでに起きた出来事について謝罪し、拘束された抗議者は解放されるだろうと伝えたと報告されている。
後に最高軍事評議会は、治安部隊は抗議行動を解散させようとしたものの、抗議者たちと激しく衝突する意図はなかったと述べた。
「26日に起きた抗議者たちに対する過剰な武力の行使を正当化することはできません。謝罪は調査の代わりにはなりません。スタンガンの使用と拷問と虐待の疑いについては、十分に公正な調査をするべきです。そして責任者は裁きを受けるべきです」とハッシバ・ハジ・サハラウイは述べた。
政治改革を求める抗議活動の広がりを受け、現在も多くの抗議者たちがタハリール広場にとどまっている。
「活動家の保護を求めるエジプト戦線」によると、何百人もの一般市民が軍事裁判所で裁判を受け、判決を下されている。多くは外出禁止令を破った罪と、安全保障上の脅威を引き起こした罪で起訴されている。
アムネスティはまた、2月3日に食料品を買いに行く途中タハリール広場で拘束された、マアティ・アハメド・ハミド・アブ・アラブ(Maaty Ahmed Hamed Abu Arab)に関する情報も入手している。彼は軍事裁判所で外出禁止令を破った罪と、武器所有の罪で5年の懲役刑に処せられた。彼は他の多くの人びととともに、遠く離れた西部の砂漠にあるアル・ワジ・アル・ガジド刑務所に現在も拘留されている。
アムネスティ発表国際ニュース
2011年3月2日
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