- 2011年1月31日
- 国・地域:エジプト
- トピック:変革を求める中東・北アフリカ
貧困や警察による虐待、汚職に反対し、ここ数日、エジプト全土で数千人の人びとがデモに参加している。
「これ以上の流血を防ぐため、エジプト政府は治安部隊を抑制しなければなりません」とアムネスティの中東・北アフリカ部副部長ハッシバ・ハジ・サラウィは述べた。
「政府は、デモの全面的な禁止を強化し、捜索および逮捕の広範な権限を与える、30年もの間続いている非常事態宣言にこれ以上頼り続けることはできません。」
デモ参加者には、脅迫や暴力、拘束および起訴の恐れなしにデモを組織し、抗議活動を行う権利が与えられなければならないと、アムネスティは述べた。
27日の夜、同国では多くの通信網が大幅に不通となった。インターネットの接続や携帯電話の回線も遮断された。
これは、週の初めになされた、携帯電話のショートメール(SMS)や、Twitter、Bambuserなどへのアクセスの遮断に引き続くものである。また著名な人権活動家たちは、携帯電話のアカウントを停止された。
「エジプトの人びとの間の情報の流れを止める劇的な対策をとることにより、政府は平和的な抗議を行う人びとの権利を奪うつもりであることを示しています」とハッシバ・ハジ・サラウィは述べた。
アムネスティは、27日に新たにデモ参加者の死を引き起こした、デモ参加者に対する過度で不必要な実弾や殺傷力のある武器の使用について、同国の治安部隊を非難していた。
シナイ半島の北部で治安部隊が1000名を超えるデモ参加者に発砲した際、22歳のアフメド・アテフが殺害されたとの情報を、アムネスティは得ている。また、スエズ市の北西で7名のデモ参加者が殺害されたと伝えられている。
25日からエジプトを襲っている全国的な市民による騒乱の中で、これまでに少なくとも8名が死亡し、多くの人びとが負傷している。
弁護士や人権団体らの統計によると、これまでに少なくとも1120名の抗議者が治安部隊によって拘束されている。
拘束された人びとがアムネスティに語ったところによると、彼らは逮捕された際、また中央治安部隊収容所に収容されているときに殴打され、適切な治療を拒否された。
27日、ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood Organization)の8人の幹部が逮捕された。この中には、エイサム・アリャン(Eissam Aryan)やモハメド・ムルシ(Mohamed Mursi)も含まれている。また、その他の指導者20名が全国で逮捕されている。
【背景情報】
国際法上、警察は厳密に必要とされている場合のみ、その職務の程度に応じた武力を行使することを許されている。とりわけ、自己防衛や、差し迫って死あるいは深刻な負傷の危険がある第三者を防衛する場合を除き、警察は火器を使用してはならない。
デモ参加者が問われる嫌疑には、集会、治安部隊に対する暴行、公共財産の破壊、交通の妨害などが含まれている。エジプト当局は、集会の自由を抑え、平和的にデモを行う権利を認めないために、人びとに対しこれらの嫌疑を頻繁に用いている。
アムネスティ発表国際ニュース
2011年1月28日
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