- 2010年8月 4日
- 国・地域:ロシア連邦
- トピック:危機にある個人
「ナタリア・エステミロワの殺害は、人権活動家がロシア連邦内で合法的な活動を行なっている際に直面する、極めて現実的な脅威を浮き彫りにしている」とヨーロッパ・中央アジア部長ニコラ・ダックワースは述べた。
「人権活動家たちは、恐れを感じたり、嫌がらせを受けることなく、活動を行うことができなければならない」。
2009年7月15日、ロシアの人権NGO「メモリアル」に所属していたナタリア・エステミロワはチェチェン共和国グロズヌイにある自宅の外で拉致され、殺害された。銃で撃たれた跡の残る彼女の遺体は、隣国のイングーシ共和国の道端で発見された。
ロシアのドミトリー・メドヴェージェフ大統領はこの殺害を非難し、綿密な調査を行うよう命じた。大統領は声明の中で、ナタリア・エステミロワの殺害と彼女の人権活動家としての活動を結びつけた。エステミロワは、危険を顧みずチェチェン共和国における最も深刻な人権侵害に関する調査を行い、その情報を公表していた。
2010年1月、ウラジミール・プーチン首相は、北コーカサスにおいて人権団体が安全な状況で活動できることを保障するよう地方当局へ命じた。
「ロシア当局が調査を正式に表明したにもかかわらず、ナタリア・エステミロワ殺害の調査が時宜にかない、効果的かつ独立的であること、そしてその調査によって疑う余地のない真実を導き出すことを当局はいまだ保障していない」とニコラ・ダックワースは述べた。
「何ひとつ欠けても、加害者を特定し裁こうとする政治的意思が当局にはない、という懸念を抱かせる」。
ナタリア・エステミロワ同様、彼女の仲間である「メモリアル」のメンバーおよび北コーカサスの人権活動家たちは、人権侵害を受けている人びとに対し基本的なサポートや、法的および人道的支援を行っている。
それにもかかわらず、チェチェン共和国の政府高官は依然として地域の人権NGOに圧力をかけ、彼らの活動を非難している。
チェチェン共和国のラムザン・カディロフ大統領は、2009年8月に行われたインタビューでナタリア・エステミロワを「好ましからざる恥知らずな女性」と呼び、さらに2010年7月3日には、メモリアルのメンバーは裏切り者であり、西側支援国の利益のためだけに活動している、と述べた。
ナタリア・エステミロワが殺害される前、モスクワでは2009年1月に人権派弁護士スタニスラフ・マルケロフとジャーナリストのアナスタシア・バブローワが、そして2006年10月にはジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤが殺害されている。
チェチェン共和国では、ナタリア・エステミロワ殺害のわずか4週間後に、ザレマ・サドゥラエワと夫のアリク(ウマル)・ジャブライロフが殺害された。
「殺害された人権活動家たちは、深刻な人権侵害の犠牲者のために声を上げた。彼らの活動は今後も引き継がれなくてはならない」。ニコラ・ダックワースはそのように語った。
メドヴェージェフ大統領とプーチン首相は、ナタリア・エステミロワと仲間の殺害調査を最優先事項にすべきである。これにより、人権活動家や独自の活動を行なう弁護士およびジャーナリストを襲うことは許されない、という明確なメッセージを送ることになる。
アムネスティ発表国際ニュース
2010年7月15日
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