- 2010年8月 3日
- 国・地域:中国
- トピック:先住民族/少数民族
伝えられるところによると、ハイラット・ニヤズ(Hairat NiyazあるいはGheyret Niyaz 漢語読みで Hailaite)は7月23日、国家の安全を脅かした罪で新疆ウイグル自治区の裁判所から有罪判決を受けた。
報道によれば、検察は2009年に新疆ウイグル自治区の首府ウルムチで起きた騒乱に先立ってハイラット・ニヤズが書いた評論や、武力衝突の後に香港のメディアから受けた取材を証拠として取り上げている。
「ウイグル人が長年にわたって抱えていた不満を取り上げたジャーナリストに対する15年の実刑判決は、理不尽な刑罰だ」とアムネスティのアジア太平洋副部長キャサリン・バーバーは述べた。
「このような理不尽に加え、ハイラット・ニヤズは自ら言うところの『良心的な一般人』であり、当局に民族間の衝突に対しての緊急措置を講ずるよう要請していたにすぎない」。
ハイラット・ニヤズは2009年10月に逮捕された。理由は、警察によれば、同氏が「あまりにも多くの取材を受けた」ためだという。
取材において、ハイラット・ニヤズは、多くのウイグル人教師が解雇される原因となったいわゆる「バイリンガル(ふたつの言語を使えるための)」教育政策の実施に反対して、不満が増大していることを取り上げていた。
また、若いウイグル人、中でも多くの女性が中国南部の様ざまな工場へ労働者として送り出されていることに対して高まっている地元の反発についても、ハイラット・ニヤズは言及していた。
「ハイラット・ニヤズは良心の囚人であり、直ちに釈放されければならない」。キャサリン・バーバーはそう語った。
ハイラット・ニヤズの裁判では、同氏が自分が選んだ弁護士の弁護を受ける権利を認められず、裁判の傍聴も、家族は同氏の妻ひとりしか認められなかった。
裁判において、ハイラット・ニヤズは、自身が何の法も犯していないことや、市民として、またジャーナリストとしての義務を果たしたにすぎないことを主張した。
ハイラット・ニヤズは、2009年7月の騒乱を煽ったとして非難されているウェブサイトのひとつである、ウイグルビズ・ウェブサイト(Uighurbiz website)の中心的ジャーナリストであり、その管理人でもある。また、新疆経済報(Xinjiang Economic Daily)の有力な記者でもあり、新疆法律報(Xinjiang Legal Daily)の編集長、および法律雑誌「法治縦横」の副所長も兼任している。
「2009年7月に新疆ウイグル自治区で何が起きたのか真相を究明しようとするならば、ハイラット・ニヤズ、および他の騒乱目撃者の証言を包み隠さず調査しなければならない」とキャサリン・バーバーは述べた。
2009年7月の暴力事件について、何が、そして誰が暴力事件を引き起こしたのか、また何人が死に、誰が殺したのかについて、独立した調査をするようアムネスティは訴えている。
アムネスティ発表国際ニュース
2010年7月23日
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