- 2010年1月23日
- 国・地域:モンゴル
- トピック:死刑廃止
アムネスティは、ツァヒャー・エルベグドルジ大統領がモンゴルにおいて人権を守るために果敢な行動を取ったと信じ、この意義ある進展を死刑の全廃に向けた重要な一歩として歓迎するものである。
「モンゴル政府は死刑の執行停止を導入することによって、人権に対する強い決意を示した。アムネスティはこの地域のその他の国々もモンゴルの例に続くよう求める」と、アムネスティ・インターナショナルのアジア太平洋部副部長ロジーン・ライフは述べた。
アジアでは依然として世界のほかの地域全体よりも多くの人びとが処刑されており、アムネスティは2008年にこの地域の11カ国で少なくとも1,838人が処刑されたと推定している。
中国やモンゴル、ベトナム、そして朝鮮民主主義人民共和国では、死刑執行やそのための手続きが秘密裏に行われており、透明性が欠けている。
「モンゴルは直ちに、同国の国家機密に関する法律を改正し、死刑の適用における透明性の欠如に終止符を打たなければならない。透明性は開かれた自由な社会にとって不可欠の要素であり、死刑廃止に向けた重要な一歩でもある」と、ロジーン・ライフは述べた。
モンゴル大統領は2009年に少なくとも3人の死刑判決について減刑を行った。同国での処刑は秘密裏に行われ、死刑判決や死刑執行についての公式統計は入手することができない。死刑囚の収容状況は劣悪であると伝えられ、家族にも処刑が事前に知らされることはなく、処刑された本人の遺体も家族に返されることはない。
世界ではすでに3分の2以上の国が法律上、または事実上死刑を廃止している。2008年には、死刑執行の停止を求める国連総会決議について、106カ国が賛成票を投じた。
「私たちはモンゴルが2010年の国連総会決議を支持するよう期待し、アジア地域のほかの国々もこの先例に続くよう強く求める」と、ロジーン・ライフは述べた。
2010年には、モンゴルの人権状況が国連人権理事会による普遍的定期審査(UPR)にかけられる予定にもなっている。
背景情報:
国連総会は2010年に、死刑執行停止を求める3回目の決議を行うことを検討している。モンゴルは中国、インド、インドネシア、朝鮮民主主義人民共和国、マレーシア、シンガポール、タイ、日本とともに、2007年と2008年に採択された国連総会決議に反対票を投じた。2008年の決議では、賛成106カ国、反対46カ国、棄権34カ国だった。
アムネスティ・インターナショナルは、死刑を残酷、非人道的かつ品位を傷つける究極の刑罰と考え、あらゆる死刑に反対している。死刑は差別的であり、貧困層やマイノリティー、人種的・民族的・宗教的コミュニティの人たちに偏って適用されており、国家が行う暴力の最たるものである。死刑が、その他の重い刑罰よりも犯罪を減らす上で効果的であるという証拠はない。
アムネスティ発表国際ニュース
AI Index: PRE01/005/2010
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