- 2009年9月12日
- 国・地域:インドネシア
- トピック:国際人権法
この地方イスラム刑法は、月曜日、アチェ州議会で可決された。新刑法は飲酒、賭博、婚姻外の性交渉、かん通、かん淫、および同性愛を含む様ざまな行為を禁じている。
「この新しい刑事条例は、インドネシア憲法の規定同様、国際人権法にも逆行するものだ」
「投石による死刑はとりわけ残酷であり、国際法において、どんな状況下であれ完全に禁止されている拷問の意味を成すものである」と、アムネスティ・インターナショナル・アジア太平洋局長のサム・ザリフィは述べた。
インドネシア中央政府は、この法律が同国の憲法における既存の人権保護法に違反する可能性があると示唆している。
「アムネスティは、これらの刑法に関してインドネシア政府内の様ざまな段階で示された懸念を歓迎する」とする一方で、「この懸念が何らかの形で実際に実行に移されるまではわからない。この刑法が存在する限り、インドネシアが果すべき国際人権法の義務を深刻な脅威にさらすだろう」、とザリフェ局長は語った。
これらの新しい規定のいくつか、特に鞭打ち刑は、アチェ州では目新しいものではなく、残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いとして既に国際人権法の基準に違反している。
しかし今回初めて、アチェ州議員がかん通を犯した者に対する刑として、投石による死刑(ラジャム)を盛り込んだ。新たに規定された犯罪に対する死刑の適用の拡大は、国際人権法および国際人権基準に対抗するものである。
アムネスティは、10月に就任する新しく選出されたアチェ議会に、緊急最優先事項として、この新刑法の撤廃を強く求めている。
アムネスティは同様に、アチェのすべての地方条例が、国際人権法および国際人権基準、インドネシア憲法に定められた他の人権規定、そして1999年の人権法に定められた人権規定に完全に遵奉することを保証するよう新議会に要求している。
インドネシア政府は、地方分権化プロセスと地方自治が、人権を犠牲にして成立しないことを保証しなくてはならない。
地方イスラム法は段階を踏まえて、1999年から2000年の間に様ざまな自治関連法案を介してアチェ州に導入された。鞭打ち刑は、数年前にイスラム法廷で賭博、窃盗、かん通の罪を処するための刑罰として取り入れられた。2005年には、アチェ州で地方イスラム法の下、少なくとも31名の男性と4名の女性が賭博罪で、また2006年には少なくとも8名が(内5名が男性、3名が女性)賭博あるいはかん通の罪で鞭打ち刑に処せられている。
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