- 2009年7月 1日
- 国・地域:ロシア連邦
- トピック:「テロとの闘い」における人権侵害
『法なき支配:北コーカサスでの人権侵害』と名づけられたこの報告書は、免責の風潮のなか今なお続いているチェチェン共和国、イングーシ共和国、ダゲスタン共和国、カバルダ・バルカル共和国における人権侵害について、特に言及している。この報告書は、無差別殺害、武力の過剰な行使、拘禁中の死亡や拷問、恣意的および秘密裏の拘禁、拉致、人権活動家やフリージャーナリストたちへの脅迫、戦闘員と目される人びとの親族への攻撃、国内避難民の立ち退きの強制などについての証言に基づくものである。
チェチェンについては、ロシア当局が公言している「対テロ作戦」が、それらの人権侵害行為に許可を与えていた。2009年4月16日、当局は「対テロ作戦」の終結を宣言したが、その後まもなくいくつもの地方で再開されている。
「過去から現在に渡り、チェチェンにおいて、法の支配を守り免責の問題に対処しようとする政治的意志が完全に欠けている。このことが、北コーカサス地方一帯の不安定さにつながっている。過去も現在も、人権侵害の加害者はあまりにも多く無罪放免になっている」と、アムネスティ・インターナショナルの欧州・中央アジア部長ニコラ・ダックワースは語った。
チェチェンでは近年政府軍と武装グループとの衝突が減ってきている一方、その他の地方での戦闘は激化している。
「イングーシでは6月22日にユヌスベク・エフクロフ大統領が暗殺未遂にあい負傷したが、最近の政府高官に対する武装グループの攻撃はほんの氷山の一角である」と、ニコラ・ダックワースは語った。
何百人もの法執行官や多数の民間人が、ここ数年の間にこの地方一帯の武装グループにより殺害されている。6月にも、イングーシの最高裁判所副所長と、ダゲスタン共和国の内務大臣が暗殺された。
同時にアムネスティは、チェチェン、イングーシ、カバルダ・バルカルで、多くの人びとが強要された自白や、拷問により引き出された証言により「テロ」関連の犯罪で有罪とされ、一方で、チェチェンでの武力紛争下において人権侵害にかかわった法執行官は無罪放免となっている、との報告を受けている。
「武装グループに立ち向かい、地域に安定をもたらすという正当な目的は、国際人道法の違反となるような不法な方法や施策では達成できない」と、ニコラ・ダックワースは語った。
「また、チェチェンではここ数年、ビルや道路、エネルギー供給の復興が叫ばれているが、それだけで安定をもたらすことはできないだろう」
「過去の、および現在行われている人権侵害に対する、徹底的かつ独立した調査のみが、正常化と安全をもたらし、被害者の経験した痛みを癒すことができる。このような調査は今後の人権侵害に対する抑止力にもなるだろう」
15年以上前より、アムネスティは継続して北コーカサスでの戦争犯罪を含む人権侵害のケースついて調査を行い、事実を明らかにしてきた。この地域を訪れた他の人権擁護団体や独立の監視団と同様にロシア当局からの妨害を受けながらも、説明責任の欠如を公に示してきた。
「独立した監視団やジャーナリストたちにこの地域を開放することは、透明性を確保し対話に応じる用意があるという当局からのシグナルとなるだろう」と、ニコラ・ダックワースは語った。
「すべての面において真に法の支配を尊重し、ありとあらゆる深刻な人権侵害を防止し罰するという政治的意志がすべてのレベルにおいてあからさまに欠如していたために、腐敗しきった負の遺産が残されている。これに対して真剣に取り組まない限り、北コーカサスの人びとの安定と安全を得ることはできないであろう」
アムネスティ発表国際ニュース
2009年7月1日
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