- 2009年6月 3日
- 国・地域:リトアニア
- トピック:性的指向と性自認
昨日、セイマスは、「公共の情報による有害な影響からの未成年者保護に関する法」の改正案の最終採決に進むことを、圧倒的多数で決定した。もしこの改正法案が可決、成立すると、学校で同性愛について議論することは禁止され、子どもたちの目に触れる公的な情報の中で同性愛に関する言及が、全くできなくなる。
「この改正法案を通過させるための採決によって、セイマスは、個人の性的指向に基づく差別を助長した」と、アムネスティのヨーロッパ・中央アジア部長ニコラ・ダックワースは述べた。
この改正法案は、身体的あるいは精神的暴力の描写、人の遺体または無惨に切断された死体の表示、そして、不安や恐怖を煽ったり自傷行為や自殺を助長する情報などと同様の問題として、同性愛を分類しようとしている。
「改正法案は、表現の自由の権利を否定し、生徒たちが必要とするかもしれない支援や保護へのアクセスを奪うものである」「リトアニア国会は、最終採決において、全ての人の全ての権利を尊重し、この改正法案を否決すべきである」と、ニコラ・ダックワースは述べた。
もしこの改正法案が可決、成立した場合、リトアニアは国際的義務に違反することになる。リトアニアには、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルそしてトランスジェンダーの子どもたちを含め、同国の子どもの最善の利益のために行動する義務がある。
背景情報:
リトアニア国内において、レズビアン、ゲイ、そしてバイセクシュアルおよびトランスジェンダーの人びとへの脅迫や差別が増加傾向にある原因の1つが、新法である。過去1年以内に、複数の地方自治体が侮蔑的声明を出した。また、欧州連合(EU)イニシアチブを取る「多様性賛成、差別反対」キャンペーンの巡業バスの運行が、ヴィリニュスとカウナスで禁止された。カウナスの市長は「同性愛者のフェスティバルは、多くの人びとに否定的感情をもたらすかもしれない」と述べた。
昨日は、本会議における第1回目の法案に関する読み上げであった。採決の際には、多くの国会議員は出席せず、出席者の中で法案に賛成したのが57名、反対が2名、そして棄権が8名だった。
この法案は、2008年12月の国連総会でリトアニアが署名した共同声明に反している。その声明では、個人の性的指向や性自認(ジェンダー・アイデンティティ)にかかわらず、人権がすべての人に平等に適用されることを再確認している。
国連の経済的、社会的、および文化的権利に関する委員会は、先ごろ、同声明の非差別条項について詳しく説明する一般的意見を採択した。その一般的意見には、教育を受ける権利を含めた規約上の権利実現にあたって、性的指向をその障害としない、ということを政党は保障すべきであると述べている。
2002「年、国連子どもの権利委員会は、英国における同様の法律について懸念を表明している。その法律は1988年に導入され、最終的に2003年9月には法令集から削除された。
アムネスティ発表国際ニュース
2009年 6月3日
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