- 2009年5月 4日
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:
東南アジア諸国連合(ASEAN)もまた、加盟国であるビルマに対し、これらの人びとの釈放を要請すべきである。ASEAN、ビルマ軍政、国連の3者が連携して大規模な救援活動を調整するにあたり、ASEANは最も強力な推進力となる。救援活動に携わる人びとが脅迫されたり逮捕される恐れなく活動できるよう、ASEANは保証する義務がある。
サイクロン発生後、ビルマではあらゆる階層から集まった人びとが、個人から寄付された救援物資を分配する作業を協力して行い、被災地の復興に尽力してきた。
「これはサイクロン災害の語られざる一面だ。救援活動が進むと同時に、人びとは救援活動を理由に当局から罰せられていったのだ」。アムネスティのビルマ専門家ベンジャミン・ザワッキは述べた。「当局はこの21人をただちに釈放すべきだ。彼らは、同国内の2100人以上もの政治囚のほんの一部である。」
これまでに20人が、不公正な裁判によって有罪とされた。うち6人は10年~35年の刑に服している。彼ら全員が、救援物資を被災者に届けたりサイクロンについての報告をしたりしたために逮捕されている。中には、死者を埋葬したがために逮捕された者もいた。
「1年が経ちサイクロン『ナルギス』の1周年を迎える今、仲間のビルマ人を助けようとして長期の刑に服している人びとを忘れてはならない」と、ザワッキは述べた。「彼らもまた、間接的なサイクロンの被害者なのだ」
背景情報:
2008年5月2日から3日にかけ、ビルマは大型サイクロン「ナルギス」に見舞われた。自然災害ではあったが、それはすぐに人道と人権の危機を招いた。国際社会が申し出た救援活動を、ビルマ軍政が3週間も拒否し続けたためである。死者は84500人を超え、数万人がなお行方不明、家屋を失ったり被害をこうむった人は約240万人とみられる。
サイクロン被害の救援活動を理由に拘禁されている21人のうち7人は、自宅から遠く離れた刑務所に入れられている。近年、政治囚らは、僻地の刑務所に移送される傾向にあり、家族は面会のために長距離を旅しなければならない。ときには9日間もかかる場合さえあるという。刑務所内の環境は悪く、医療も不十分なため、政治囚らは家族から差し入れられる医薬品、食料、衣類に頼っていることが多い。
政治囚のひとりに、サイクロン災害後に起こったプライベート・ドナー運動を率いたかどで35年の刑に服している人気コメディアンのザーガナーがいる。彼は、2008年6月4日、外国メディアのインタヴューの中で、サイクロン救援へのビルマ軍政の対応を批判して逮捕された。1988年の反軍事政権学生運動にも参加していたザーガナーは、活動家であると同時に歯科医師の教育も受けており、以前にも民主化活動のために逮捕された経験がある。現在彼は健康状態が悪いにもかかわらず、適切な医療措置を受けられずにいる。
軍事治安当局はこのほか、壊滅的な被害を受けたビルマ南部エヤワディ(イラワディ)デルタ地帯のボガレで死亡者を埋葬していた6人を2008年6月中旬に逮捕した。この6人は、ネイウィン博士、その娘ピョーピョーアウン、アウンチョウサン、リンテッナイン(通称アウンタンジンウー)、ポンペイチェ、シインヤザートゥンである。
彼らは2009年4月10日に、2年~4年の刑の判決を受けた。
アムネスティはまた、ビルマ軍政に対し、これら良心の囚人である人びとをいかなる場合にも拷問や虐待することのないよう要請する。刑務所当局も、拘禁している人びとが抱えている健康上の問題に必要な医療手当を行う義務がある。
アムネスティ発表国際ニュース
2009年5月4日
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