- 2009年4月14日
- 国・地域:イラク
- トピック:
「クルド地域は、イラクの他地域を荒廃させてきた流血や暴力を免れており、KRGは人権における重大な前進を果たしている」と、中東・北アフリカ部長マルコム•スマートは述べた。「しかし真の問題である恣意的な拘禁や拷問、ジャーナリストや表現の自由に対する攻撃、女性への暴力は依然として残っており、政府による早急な対処が必要とされている」
報告書「希望と恐怖:イラクのクルド地域における人権」は広範な調査に基づいており、2008年のクルド地域での事実調査においてアムネスティ調査員により行われたインタビュー内容を含んでいる。報告書は、アサイシュ(治安)当局者による逮捕、恣意的な拘禁に関する多数の事例に言及しており、拷問や強制失踪にあい、消息や行方が依然として不明な者についても述べている。
拷問方法には、身体の様々な部位への電気ショック、拳やケーブル、鉄や木でできた警棒による殴打、手首や足首での宙吊り、足の裏への殴打(ファラカ)、睡眠の剥奪、足蹴りなどが含まれる。
起訴や裁判もなく数年間拘束されていた数百人の被拘禁者はすでに釈放されているものの、当局はアサイシュの力を効果的に抑えることができないでいる。また当局は、ともにKRGを構成している2つのクルド主要政党,クルド民主党(KDP)とクルド愛国同盟(PUK)の治安部隊であるパラスティンとデズガイ・ザンヤリについても統制できていない。
「KRGが最近の人権における前進を実のあるものと認めさせるには、これらの部隊を統制するための具体的な方策をとり、法の下に責任を負わせなければならない」と、マルコム•スマートは述べた。「当局は、メディアの自由を進展させるためにさらなる措置をとる必要があり、女性への差別と暴力を打開するためには一層の努力をしなければならない。そして、いわゆる名誉殺人の悪循環や女性を従属させようとする男性による女性への攻撃に終止符を打たなくてはならない」
報告書は、2008年に親族の男性に殺された女性に関する複数の事例に言及している。
23歳のシラン•ムハンマド•アミンは、男性と関係を持ったことを疑われ、兄弟によって絞殺されたと見られる。17歳のコワン•ユニス•カディルは、夫との離婚を求めた後に銃殺された。この他の事例においては、親族の男性による暴力またはそのおそれを理由に、女性や少女たちが自殺に及んだことが報告されており、成人男性との強制的な結婚から逃れるため、2008年3月に焼身自殺した13歳のロジャンについても述べられている。
「これらの例は、女性や少女たちの行動を支配しようとする者や本人の意思に反する結婚を強いる者たちの暴力から彼女たちを効果的に保護するために、依然としてKRG当局がなすべきことがいかに多いかを示している」と、マルコム•スマートは語った。「女性に対し暴力をふるう者を起訴し、刑に処するための努力を惜しんではならない。そして、このような罪を犯す者が法の裁きを逃れることはできないことを明らかにする必要がある」
背景:
アムネスティはKRGに対し、2008年8月に人権に関する懸念事項についての2通の覚書を提出し、回答を求めていた。2008年末にKRG人権省から受け取った回答は報告書に反映されている。
アムネスティ発表国際ニュース
2009年4月14日
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