メキシコ：不公正に拘禁され続ける先住民族の人権擁護活動家たち

2009年3月12日

国・地域：メキシコ

トピック：先住民族/少数民族

アムネスティは、現在ゲレーロ州立刑務所に殺人容疑で拘禁されているメファア先住民族組織（OPIM）のメンバー5人に対し、釈放するかどうかの判断が連邦裁判所からまもなく出されるにあたり、この声明を出した。

「1カ月ばかり前にメキシコは、国連人権理事会において、同国の人権擁護活動家の身の安全を保証すると公約した」と、アムネスティ・インターナショナルのアメリカ部長スーザン・リーは述べた。「OPIMの正当な活動を支援することこそが、メキシコ政府が自らの公約を果たすためにただちに実行できることだ」

2008年10月20日、連邦判事は、証拠不十分として拘禁されている者のうち4人の釈放を命じた。しかしメキシコ連邦検察庁は、新たな証拠を提出していないにもかかわらずこの決定に対して不服を申し立てたため、4人は依然として拘禁されている。

5人目の被拘禁者であるラウル・エルナンデスについては、連邦判事は、目撃者2人が被害者の射殺現場にエルナンデスがいたと証言したとして、釈放を認めなかった。しかし、ラウル・エルナンデスは殺害時に現場に居合わせなかったという他の目撃者の証言は無視されている。ラウル・エルナンデスは、釈放を認めないという決定に対し不服を申し立てている。

「これら5人の良心の囚人に対する容疑は、共同体の権利を促進したり、地元政界の実力者と地方政府当局による人権侵害を明らかにするといった彼らの活動に対する報復であると、アムネスティ・インターナショナルは確証を得ている」

「市民活動家がその正当な活動を理由に罰せられることによって、人権を守り促進しようとすることは高い代償を伴うことになる、という警告を当局は送っているのだ」

アムネスティは本日、メキシコ当局に対し、証拠が不十分であるにもかかわらず1年近く拘禁されている先住民族人権擁護活動家5人を、即時かつ無条件に釈放するよう要求する。

背景：
2008年4月17日、マニエル・クルス、オルランド・マンサナレス、ナタリオ・オルテガ、ロムアルド・サンチアゴ、ラウル・エルナンデスの5人は、2008年1月1日にゲレーロ州のエル・カマロテ村で起こったアレハンドロ・フェリシアノ・ガルシア殺害の容疑で拘束され、起訴された。5人のOPIMメンバーは同地域の軍の検問所を通過する際に呼び止められ、身柄を拘束された。そのほかの10人のOPIMメンバーに対しても、殺人に関与したとして逮捕状が出されたが、逮捕には至っていない。

メフィア先住民族組織（OPIM）はメキシコのメファア（Tlapanecas）先住民族の権利保護と促進を目的として2002年に創設された。南部にあるゲレーロ州には先住民族として、約11万6000人のメファア民族が居住している。同州はメキシコ国内において、最も周縁化された地域の１つであり、いくつかの人間開発指標が最低水準とされている地域でもある。

ゲレーロ州のOPIMなど先住民族権利団体のメンバーが、何年にもわたって嫌がらせや脅迫を受けてきたことをアムネスティは記録している。ごく最近も、ミステク先住民の未来を求める組織（OFPM）の事務局長と代表が、ゲレーロ州のテコアナパ市で2月20日の深夜、遺体となって発見されている。2人の遺体は、7日前に武装した男たちによって彼らが連れ去られた現場から車で30分離れたところで掘り出された。遺体の身元は家族によって確認され、明らかに拷問された痕があったという。

＊詳細は以下をご覧ください:
「メキシコにおける先住民族の権利促進：メファア先住民族組織」(AMR 41/040/2008)
：http://www.amnesty.org/en/library/info/AMR41/040/2008/en

＊ミステク先住民族の未来を求める組織のメンバー2人の殺害事件に対する緊急行動
http://www.amnesty.org/en/library/info/AMR41/010/2009/en

＊5人の良心の囚人を撮影した短いビデオと彼らの妻のインタビューは以下からご覧いただけます。
-　Windows Media Player:
http://emedia.amnesty.org/netstorage/mexico/MexicoPOCsENG.asx
-　Real Player version:
http://emedia.amnesty.org/netstorage/mexico/MexicoPOCsENG.ram

アムネスティ発表国際ニュース
2009年3月12日