- 2009年3月 4日
- 国・地域:スーダン
- トピック:国際人権法
本日、国際刑事裁判所(ICC)はスーダンのオマール・アル・バシル大統領に対し、人道に対する罪および戦争犯罪の容疑で逮捕状を発行した。この決定を受けアムネスティ・インターナショナルは、アル・バシル大統領は裁判を受けるために速やかに出頭しなければならない、と述べた。
「法は明白である。アル・バシル大統領は自らを弁護するためにICCに出廷しなければならない。もし彼がそれを拒否するのなら、スーダン当局は彼を逮捕しICCに速やかに引き渡さねばならない」。アムネスティ事務総長アイリーン・カーンはそのように述べた。スーダン国家元首に対して本日出された逮捕状は、30万人以上が殺害され、数千人が強かんされ、数百万人が避難民となったこの紛争において、かつてない大きな動きである。
「この発表は、ダルフールと、そして世界のあらゆる国々にとって、重要なメッセージである。それは、人権侵害の容疑者は、たとえどれほど強大な権力を持っていようとも、裁きにかけられるというメッセージである」と、アイリーン・カーンは述べた。
現在スーダンの憲法では、国家元首はその在職中、刑事訴追から免責されることになっている。しかしながら国際法では、人道に対する罪および戦争犯罪に対する免責は認められていない。
スーダン当局は、スーダンに対してICCに協力するよう命じた国連安全保障理事会決議第1593号(2005年)によって、ICCの逮捕状で名指しされた人間は誰であれ逮捕しなければならないという法的義務を負っている。
アル・バシル大統領がスーダンから出国した場合、彼が入国した国の政府は、逃亡者として彼をただちに逮捕してICCに引き渡す義務があり、大統領に安全な避難場所を与えてはならない、とアムネスティは述べた。
「あらゆる人間は法の下にある。もしあなたが犯罪の容疑で起訴されたならば、裁判所に出廷しその嫌疑に向き合わなければならない。アル・バシル大統領は国際刑事裁判所において、その機会を得るだろう」とアイリーン・カーンは語った。
*編集者のための注:
国際刑事裁判所はダルフール紛争に関して、アル・バシル大統領に対する案件に加え、その他に2つの事件を捜査している。
・ 2007年4月、ICCは戦争犯罪および人道に対する罪の容疑で、スーダン政府のアーメド・ハルン大臣とジャンジャウィド民兵の指導者アリ・クシャイブに対する国際逮捕状を発行した。スーダン政府はこれまでのところ彼らの逮捕もICCへの引き渡しも拒否している。
・ 2008年11月20日、ICC検察官は、ダルフールで活動する反政府武装勢力の司令官3人に対する逮捕状をICCに申請した。検察官は3人の氏名を公表しなかった。この司令官たちは、2007年12月のアフリカ連合スーダン派遣団(AMIS)への攻撃について、戦争犯罪で起訴されている。この攻撃では、平和維持部隊の隊員12人が殺害されている。
アムネスティ発表国際ニュース
2009年3月4日
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