- 2009年2月 6日
- 国・地域:イタリア
- トピック:難民と移民
島にいる移民はみな、公正な庇護申請手続きへのアクセスや、国外退去についての異議申立ての機会もないまま島から送還される危険にある。
1月28日、イタリア内務大臣が記者会見で述べたところによると、イタリアがチュニジアと結んだ非正規移民の送還に関する協定に基づき、今後2カ月間でチュニジア出身の移民500人が国外退去となる予定だ。
さらにイタリア内務大臣は3日、120人の非正規移民がチュニジアへ即時送還される予定であると発表した。イタリア国内にある他の受入施設に被収容者を移送した事実やその予定について、公式な情報は何も明らかにされていない。
移民が拘束されている収容所は定員850人である。1月23日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、この収容所について懸念を表明し、被収容者が置かれている人道的に厳しい状況を改善するために必要なすべての措置を取ることをイタリア当局に求めた。
ランペドゥーサ島の状況に関して1月9日に出されたUNHCRの声明では、「庇護を求める人びとは、各自の権利に関する情報を得ることができ、庇護申請を提出して公平な手続きによる審査を受けることのできる安全な国への入国を許可されるべきである」と述べている。
「有効な保護を受けることのできない国に難民を送り返すことは、『強制送還』を行わないという締約国の国際的な義務違反になり得る」
1月以来、さまざまな国から1000人を超す人びとが、シシリアのランペドゥーサ島にボートで上陸している。UNHCRの統計によると、2008年に海路経由でイタリアに到達した3万6000人のうちの75パーセントが庇護を申請した。そのおよそ半数は、難民の地位を与えられるか、または他の方法で強制送還されずに保護を得ている。
イタリア政府は1月に新しい政策を実施し、海路経由でランペドゥーサ島に到達したすべての移民の身元確認と庇護手続きを、同島の新しい収容所と身元確認センターで行うことになった。この動きにより、公正な手続きと十分な弁護士へのアクセスについての懸念が広まっている。
アムネスティは当局に対し、1951年難民条約と拷問等禁止条約の締約国としてイタリアが負う義務に従い、深刻な人権侵害を受ける危険がある国に人びとを強制送還しないよう要請している。
「国際人権法と難民法は各国当局に対して、すべての移民が公正で満足のいく手続きにより庇護を求めることを可能とし、深刻な人権侵害を受ける危険がある国へ送還されないようにすることを義務づけている」と、アムネスティのヨーロッパ・中央アジア部副部長デヴィッド・ディアスホジョは語った。
アムネスティ発表国際ニュース
2009年2月6日
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