- 2009年2月 2日
- 国・地域:中国
- トピック:危機にある個人
3団体は、高智晟が中国治安当局によってひどい拷問や虐待を受ける差し迫った危険があると訴え、高智晟の即時釈放を要求している。
ヒューマンライツ・ウォッチのアジア・アドボカシー部長のソフィ・リチャードソンは、「中国治安当局が過去に高智晟と彼の家族に対して行ってきたことを考えると、高智晟の現在の安否が非常に懸念される。高智晟は、これまで警察の留置場でどのような拷問を受けたかについて詳細に報告しており、今まさに、同様の拷問を受けている危険がある」と述べた。
2006年に国家転覆煽動罪の執行猶予判決を受けて以来、家族も含めて警察による長期間の監視下にあった高智晟は、1月19日から行方不明になっている。信頼できる情報筋によると、その後、高智晟は治安部隊によって拘束され拘禁されているが、拘禁場所は不明であるという。
「2月9日に中国政府は国連人権理事会で中国の人権状況に関する包括的審査を受けることになっている。2008年11月に国連拷問禁止委員会による手厳しい審査が終わって間もないが、第一線の人権活動家を恣意的に拘禁し拷問しているようでは、人権状況の改善を示すことは不可能である」と、ヒューマンライツ・イン・チャイナのシャロン・ホム事務局長は述べた。
高智晟は、中国の人権状況を公然と非難し、彼自身と家族が治安部隊から受けた取り扱いを詳細に記した公開書簡を米国連邦議会に送った直後の2007年9 月、数週間にわたって拘禁された。
高智晟は、2007年に不当に拘禁されたこと、また激しく殴打され、性器への電気ショックを繰り返され、火のついたタバコを目に長時間近づけられ、その後数日間にわたって部分的に目が見えない状態となったことなど、治安部隊による長期間にわたるひどい拷問について詳細に記している。彼の釈放後、知人は、高智晟が「身体的にも精神的にも破壊されていた」と語った。
「中国政府はただちに高智晟を釈放するべきである」と、アムネスティのアジア太平洋部副部長ロジーン・ライフは語った。「中国は真剣にその国際的義務を果たそうとしていることを明確に示すべきである。今回の事件においては、特に拷問等禁止条約によって課せられた義務を負っている。この条約は、1988年に中国政府が自ら参加したものである」
2008年11月、国連拷問禁止委員会(CAT)は、中国への「総括所見」において、「警察留置場における被疑者への日常的かつ広範な拷問や虐待に関し、数多くの司法関係者の情報によって裏付けられる申し立てが依然としてあることについて、非常に懸念している」と報告した。
アムネスティ、ヒューマンライツ・イン・チャイナ、ヒューマンライツ・ウォッチは、警察に拘束されている高智晟の安全と健康を保証するために必要な措置と、できる限り早期の高智晟の釈放を中国政府に要請するよう、関係各国政府や国際機関に強く求めた。
中国法務省が発表する2001年の「中国の弁護士トップ10」の1人にも選ばれた高智晟は、独学で学んだ法律の専門家であり、重大かつ政治的論議を呼んだ警察やその他の政府機関によるいくつもの人権侵害事件において、被害者の代理人を務めた経歴を持つ。2005年10月、高智晟は胡錦涛国家主席と温家宝首相に、拘禁中の法輪功実践者たちに依然として行なわれている拷問と虐待、地下キリスト教徒や民主活動家に対し現在も行なわれている迫害の中止を求める3通の手紙を書いた。
2007年の拘禁後に高智晟は、再び逮捕されればまた拷問される危険を感じていると表明していた。
2007年6月に高智晟は、米国法廷弁護士委員会(ABOTA)の「勇敢なる弁護」賞を受賞した。高智晟の回想録『A China More Just』は、同年に英語で出版されている。
アムネスティ発表国際ニュース
2009年2月2日
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