- 2009年1月 9日
- 国・地域:米国
- トピック:「テロとの闘い」における人権侵害
アムネスティはまた、「テロとの戦い」の名の下に米国によって、もしくは米国に代わって行われた人権侵害を調査する独立した委員会を支持し、説明責任を保証するとともに、米国の「対テロ」政策の根本的な転換を示すようオバマ次期大統領に要求した。
「我々は不可能なことを要求しているのではない。バラク・オバマ氏は、国家安全保障の名においてこれまで米国政府が行ってきた過ちを正すと、その決意をすでに述べてきた。我々は次期大統領に、自らの公約を実現させるよう求めている」と、アムネスティ・インターナショナル事務総長のアイリーン・カーンは述べた。
「我々はグアンタナモ問題が優先課題となったことを歓迎する。グアンタナモ収容所の閉鎖は過去の拘禁政策からきっぱりと決別する第一歩となる。しかしそれは、米国の国際的な義務が完全に満たされた形で行われたときにはじめて達成されるだろう。落とし穴は細部にある。グアンタナモの再現はどこにも、どんな形であっても行われてはならない」
ロバート・ゲイツ国防長官は、新政権にとって最優先課題としているグアンタナモ収容所閉鎖の計画を作成するよう、スタッフに命じた。これには被拘禁者の今後を考慮した包括的な計画を盛り込む必要がある。グアンタナモ収容所閉鎖計画はまた、軍事委員会による裁判の即時廃止が盛り込まれるべきであり、それに代わる裁判は通常の民間法廷で行われるべきである。
他の国々も、釈放が明らかでありながら本国で拷問や迫害を受けるおそれがあるために帰国できない被拘禁者の人道的保護を申し出ることで、グアンタナモ収容所閉鎖を促すべきである。ドイツ、ポルトガルを含む複数の欧州連合(EU)加盟国が、EUで被拘禁者を受け入れる案に支持を表明しており、EU圏共通の対応を模索している。
「グアンタナモはこれまで、『テロとの戦い』の名の下で米国が7年にわたって組織的に実行してきた、公正な裁判や人道的処遇といった基本的人権を侵害する拘禁政策の一環であり続けた。今こそ米国による新たなアプローチが必要とされている。そして他の国々も、同収容所閉鎖のために決定的な役割を担っている」と、アイリーン・カーンは述べた。
アムネスティ・インターナショナルは次期大統領に対し、就任から100日の間に、グアンタナモ収容所閉鎖計画の詳細を早期に発表し、国際法上定義されている拷問やその他の虐待を禁止する大統領令を下し、「テロとの戦い」の中で米政府が行ってきた人権侵害を調査するための独立した委員会を設置するといった確固たる人権改革に着手するよう求める。
現在、約250人が現在グアンタナモに収容されており、中には6年以上も拘禁されている者もいる。
アムネスティ・インターナショナルはグアンタナモ閉鎖を初期の頃から呼びかけている団体の一つである。1月11日には世界35カ国以上のアムネスティの活動家、支援者、会員らが、米国に対し、「テロ対策」に関連する拘禁政策を転換するよう再び要請する予定である。
アムネスティ発表国際ニュース
2009年1月9日
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