- 2009年1月 7日
- 国・地域:モロッコ/西サハラ
- トピック:難民と移民
2009年1月1日の朝、サハラ以南のアフリカからの移民少なくとも50人がモロッコとスペインの飛び地領メリリャの間にある境界のフェンスに辿りつこうとしていた。アムネスティに寄せられた報告によると、モロッコの法執行官は1発目を空に向かって発砲したが、2発目以降は国境越えを試みる移民たちを狙って発砲した。2発目の発砲が移民の中の1人であったアリノを直撃し、ナドルの病院に搬送される途中で死亡したとされる。
今回の事件においては、他にも14人が逮捕されて殴打され、ベニナサールの憲兵隊に連行されて写真を撮られた上に私物を没収されたという。その後、ナドルに連行され、ナドルからウジュダに近いアルジェリアとの国境まで搬送され、恣意的かつ集団的な国外追放と考えられるやり方で放り出された。
アムネスティはモロッコ当局に対して、モロッコ治安部隊による過度の武力行使の有無を確認するために、国境地帯における治安部隊の行動および移民殺害の状況を検証する調査を立ち上げることを求める。また、国連の「超法規的、恣意的および即決処刑の効果的防止および調査に関する原則」に従って、当局の干渉を受けない検視が実施されなければならない。調査で過度な武力が行使されたという結論が出た場合、その調査報告では、責任の追及、被害者に対する賠償、こうした過度な武力行使の再発防止策が勧告されなければならない。また、この調査結果は公表されるべきである。
モロッコ当局はまた、国境で足止めをくった人びと全員の基本的な権利の擁護を保証しなければならない。「法執行官による力と火器の行使に関する国連基本原則」などの国際基準により、法執行官が武力を行使し得るのは、「その厳格な必要性があり、かつ任務の遂行に必要とされる範囲」に限られている。
さらに、1951年の難民の地位に関する条約および拷問およびその他の残虐、非人道的または品位を傷つける取り扱いまたは刑罰を禁止する条約などの国際法にもとづくモロッコ政府の義務に従い、アムネスティはモロッコ当局に対して、深刻な人権侵害を受けるおそれのある国に何人たりとも強制送還されないよう保証することを求める。モロッコ政府は、迫害から逃れようとするすべての人に対して、十分かつ公正な難民認定手続きを提供しなければならない。国際的な保護が必要ではないと判断し、庇護を求める人びとを国外退去させる決定を下す場合でも、国外退去の決定に対する異義申し立てなどを始め、十分な手続的保障のための措置がなければならない。
背景:
2005年および2006年、アムネスティは、モロッコとスペインの国境であるスペインの飛び地セウタとメリリャで国境越えを試みた移民と庇護希望者に対する深刻な人権侵害を記録している。その中には、殺害、法執行官による過度な武力行使、集団的国外追放、ノン・ルフールマンの原則への違反などが含まれている。
モロッコ当局は、2005年のセウタとメリリャ、2007年の西サハラ、アル・ホセイマの港付近での移民の死亡に関する調査を開始したが、アムネスティの知る限り調査は完了しておらず、結果も公表されていない。
アムネスティ発表国際ニュース
2009年1月7日
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