- 2008年9月23日
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:危機にある個人
「確かに、ウーウィンティンら政治囚の釈放は、長らくなかったビルマからの最良のニュースではあるが、釈放の数は同国の政治囚の1%にも満たない」と、アムネスティ・インターナショナルのビルマ調査員ベンジャミン・ザワッキは述べた。「そもそもこの7人は最初から投獄されるべき人びとではなかったのだ。釈放されるべき政治囚はまだまだたくさんいる」。
アムネスティ・インターナショナルは、ビルマ当局が、2010年に予定されている総選挙を前に、9000人に上る囚人に対し「恩赦」を与えることを決めたという未確認情報に注目している。しかしながら、この数字に政治囚が含まれるのかどうかは不明である。
ウーウィンティンは、彼の投獄理由を正当と認めることになりかねないため、当局からの恩赦を拒んでいた。報告によると、彼の釈放には条件がつけられなかったという。
「今日釈放されたような『良心の囚人』とは、まさにこの言葉が示すとおりの人びとである。彼らは、自らの信条やその信条に基づいた平和的な行動のみを理由に投獄されていた」と、ベンジャミン・ザワッキは続け、「彼らは何も悪いことをしていない。我々はこういった人びとの即時無条件の釈放を求める」と述べた。
ウーウィンティンは78歳のジャーナリストであり、著名な反政府活動家で、アウンサンスーチーが率いる最大野党の国民民主連盟(NLD)の幹部である。
その他に釈放された6人の良心の囚人もNLD党員であり、うち4人はNLDが勝利した1990年選挙の際に選出された国会議員である。
※国会議員ドーメイウィンミン博士(58歳・女性)と国会議員タンニェイン博士(71歳・男性)は1997年NLDの会合を組織したことを理由に投獄された。彼らの刑期は2004年以降繰り返し延長され、健康状態の悪化に苦しんだ。
※アウンサンスーチーの上級補佐ウィンテイン(66歳・男性)は、1996年に農業統計の収集のために農民とNLD党員を組織したことやその他の犯罪を理由に投獄された。彼は独房に拘禁され、高血圧や心臓病など数々の健康上の問題に苦しんだ。
※NLD国会議員のアウンソーミンウー(男性)は、2003年8月に「無免許でオートバイを所有していたこと」を理由に7年の刑を言い渡されたが、彼の政治活動のために標的とされたと広く信じられている。
※NLD国会議員ウーキンマウンスウェ(66歳・男性)は、1994年8月に7年の刑を言い渡された。
※ウータンナイン(男性)はNLD党員である。
「7人の政治囚の釈放を歓迎する。しかしこれ自体は決して終わりでも、終わりとみなされるべきでもなく、始まりに過ぎないのだ」とベンジャミン・ザワッキは述べた。
背景情報:
アムネスティ・インターナショナルは今年7月、会員・サポーターに向けて、ウーウィンティンに関する緊急行動(Urgent Action : UA)を発表した。彼はヤンゴンのインセイン刑務所に拘禁されていた。過去19年間の拘禁中、しばしば独房に移され、必要な医療処置が受けられなかった。
ウーウィンティンは、1989年7月4日、野党の党員に対する取締り中に逮捕された。彼は3回にわたり合計21年間の刑を言い渡された。ウーウィンティンの最後の判決は、国連に刑務所の状況について書き送ったこと、ならびに刑務所内で反政府パンフレットを書いて回覧したことを理由に1996年3月、7年間の刑の追加を言い渡されたものである。当局はこれを「刑務所内の暴動を扇動するプロパガンダを秘密裏に発行した」ものであるとしている。
ウーウィンティンは「不当にインセイン刑務所に投獄されている良心の囚人の証言」と呼ぶ文書を国連に書き送ったが、これは、ビルマでの人権侵害に関連した要求や要望であり、刑務所内の拷問や医療ケアの欠如についても言及されている。当局が同文書について調査をしている間、ウーウィンティンは軍用犬のために作られた監房に入れられ、寝具類を与えられなかった。彼は長期にわたり食料や水を与えられず、家族の訪問も認められなかった。
アムネスティ発表国際ニュース
2008年9月23日
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