- 2008年6月 3日
- 国・地域:フランス
- トピック:取調べの可視化
欧州評議会の拷問等防止委員会(CPT)は、拷問その他の虐待から被拘禁者を保護する重要な手段として、また法執行官が濡れ衣を着せられて訴えられることを防止する方策として、録音・録画を行うよう繰り返し勧告してきた。
しかし、フランスが6月1日導入する措置では、警察署内で被拘禁者が立ち入る可能性のある拘禁区域のすべてに監視カメラが設置されているわけではなく、さらに、特にテロリズムまたは組織犯罪に関与したとされる被拘禁者が除外されることを、アムネスティは懸念している。
アムネスティは、今回、被拘禁者の人権保障に向けた第一歩が踏み出されたことは評価するものの、フランス当局に対し、警察署内の個々の監房や共同エリアを含め、被拘禁者が立ち入る可能性があるすべての区域(被拘禁者が立会人なくして弁護士や医師と接見する権利に抵触しない限りにおいて)に強制録音・録画監視システムを拡大し、嫌疑内容にかかわらず、すべての被拘禁者に適用することを要請する。また録音・録画された情報は安全に管理された場所に保管され、検察・弁護側双方の求めに応じて視聴可能である必要がある。
背景:
アムネスティは、フランスの警察留置場での虐待が横行しているという報告について、長年に渡り懸念を表明してきた。2005年発表されたレポート「フランス:正義を求めて」(AI Index EUR 21/001/2005)では、警察当局者が関与した留置場内での発砲、拘禁中または拷問による死亡、その他の虐待事件のうち多数のケースで、関係者が責任を問われていないことが取り上げられている。国連や欧州の人権団体をはじめとして、アムネスティも類似の申し立てを引き続き調査している。アムネスティは、警官が関与した人権侵害疑惑を検察や裁判所が捜査・起訴しない、または消極的であるような事例が頻発していることを憂慮している。
CPTの勧告同様に、アムネスティの調査は、警察署内への録画・録音監視システムの導入が虐待防止の重要な手段であると結論づけている。アムネスティはフランス当局に対して、立法、司法、行政において、拷問その他の虐待の予防策を導入し、拷問その他の虐待の可能性が疑われるような場合はいかなるケースにおいても、迅速に独立した公平で実効性のある調査を行うよう保証することを求める。
アムネスティ発表国際ニュース
AI Index: EUR 21/004/2008
2008年6月3日
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