- 2008年5月 2日
- 国・地域:米国
- トピック:「テロとの闘い」における人権侵害
この男性9人は今年初めてグアンタナモ基地から釈放された人びとである。そのうちのひとり、アルジャジーラのカメラマンであるサミ・アルハジは、起訴もないままほぼ6年間グアンタナモに収容されていた。長年の無期限収容や、長期のハンガーストライキ中などに受けたと伝えられる虐待のため、アムネスティは特にサミ・アルハジの健康について懸念を残している。
グアンタナモに収容されていた他の2人のスーダン人、ヤコブ・アルアミル、ワヒド・アリとともに、サミ・アルハジは本国へ送還された。サミ・アルハジは飛行機から担架でそのまま病院に運ばれた。
4人目の被収容者であるサイード・ボウジャアーディアはモロッコに送還され、カサブランカの司法警察によって拘束されたと伝えられている。アムネスティはボウジャアーディアの状況を引き続き監視し、モロッコ当局に対し国際法に十分則って彼を取り扱うことを保証するよう訴える。ボウジャアーディアには弁護人をつけ、独立した医療を受けさせなければならず、また、明らかな犯罪容疑で迅速に起訴し裁判にかけない限り、釈放しなければならない。
米国国防総省によると、他に5人の被収容者がアフガニスタンに移送された。現段階で、アムネスティはそれ以上の詳細を得ていない。アムネスティはアフガン政府に対しても同様に、送還された被収容者のすべての取扱いもいかなる裁判も、国際法と国際基準を遵守すること、および、グアンタナモの被収容者らが受けてきた不法な取り扱いを決して永続させないことを保証するよう訴える。
「米政府は軍事委員会による裁判を廃止しなければならない。軍事委員会は、被収容者への人権侵害を許可し黙認した政府の同じ機関から独立しておらず、拷問によって強要された情報に依存する可能性がある」と、アムネスティ・インターナショナルは訴えた。
グアンタナモやその他の場所で囚われていた人びとに対し米当局は、何百年も前から保障されている人身保護請求権に基づいて独立した公正な法廷で自らの拘禁につき申し立てる権利を否定するだけでなく、拷問やその他の残虐、非人道的又は品位を傷つける取扱いの絶対的禁止に反するような処遇をした。そのような人権侵害に対する調査は不十分なままである。
「米政府はグアンタナモ収容施設を永久に閉鎖し、米中央情報局(CIA)が実施している秘密収容計画を廃止しなければならない。米国が実施しているすべての拘禁は、どこで行われるかにかかわらず国際法と国際基準に完全に合致したものにしなければならない」と、アムネスティは述べた。
「拷問や強制失踪といった国際犯罪をはじめ、すべての人権侵害についてきちんと説明する責任を米国は負っている」。
アムネスティ発表国際ニュース
2008年5月2日
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