- 2008年3月 3日
- 国・地域:ソマリア
- トピック:危機にある個人
「ソマリアでは、ジャーナリストを標的にした殺害、逮捕や死の脅迫が続いているが、これはソマリアの内戦と社会不安がもたらした単なる不幸な副産物ではない。これはすべての紛争当事者による情報の国外流出阻止のための意図的で組織的な攻撃である」と、アムネスティ・インターナショナルのアフリカ副部長ミッシェル・カガリは述べた。
2007年2月以降、9人のジャーナリストが殺害され、死の脅迫や逮捕の脅威から少なくとも50人以上が隣国への亡命を余儀なくされた。
首都モガディシオから隣国に避難したジャーナリストは、紛争当事者のいずれの行為かに関わらず、犠牲者について報道する場合はつねに殺害の脅迫を受けていたと、アムネスティに語った。脅迫は決まって携帯電話にかけられ、大半が暫定連邦政府(TFG)の国家安全保障局(NSA)の役人と名乗っているにもかかわらず、発信先の番号は非通知になっていた。
「ジャーナリストたちは、インターネットから記事を削除しなければ、殺害や強制失踪または逮捕されると脅迫される。これは表現の自由に対する露骨で野蛮な攻撃である」と、カガリは述べた。
また2人のジャーナリストが、モガディシオのエチオピア外交官から個人的に脅迫を受けたと語った。
さらに暫定連邦政府軍やエチオピア軍と戦う武装グループから脅迫を受けたと話すジャーナリストもいる。あるジャーナリストはアムネスティにこう話した。「反政府勢力の2人が殺害された記事を書いたところ、何者かから携帯電話に電話があり、『なぜそんな記事を書いたのか』と聞かれた。『真実だからだ。書かなければならないからだ』と答えると、『我々の殺害リストに載るぞ』と言われた」。
他のジャーナリストたちも暫定連邦政府軍やエチオピア軍に何度も逮捕されている。多くのジャーナリストが、「ダルウィッシュ将軍」として知られるモハメド・アデン将軍率いる国家安全保障局の構成員が逮捕に当たったと特定している。紛争に関するインタビューをした後や記事を提出した後、とくに反政府勢力へのインタビューをした後に拘禁されるケースが多い。
ジャーナリストが尋問されている間、国家安全保障局の役人が仲間内で彼を殺害すべきか否かをあからさまに話していたと語る者もいる。
「ソマリアのジャーナリストは、想像を絶する極めて危険で困難な状況のなかで、報道のために日々闘っている。彼らは日常的に襲撃や脅迫にさらされているが、これは人権侵害を公にする最も重要な声であるジャーナリストの口を封じるために、ソマリア紛争にかかわるすべての当事者が意図的に行っているものである。ジャーナリストの声を守らなければならない」とカガリは述べた。
アムネスティ・インターナショナルは各国政府に対して、ソマリア脱出を余儀なくされたジャーナリストに安全な場所を提供し、強制送還しないよう求める。
背景:
ソマリアにおけるメディアへの攻撃は、発展してきたこの国の表現の自由に逆行するものだ。2005 年から2006年にかけて、新しいラジオやテレビ局、さらに新聞やウェブサイトがつくられ、氏族や軍閥への忠誠心を越えて、報道とつながりが広がり始めていたところだった。
アムネスティ発表国際ニュース
2008年3月3日
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