- 2008年2月18日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:米国
- トピック:
来週、米国政府が提出した「あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約」(CERD)にもとづく定期報告書が条約監視機関により審査を受ける。これにより米国の人種差別の実態が明らかにされる。
2月21日と22日、ジュネーブにおいて、国連人種差別撤廃委員会(以下、「委員会」)は、第4期から第6期までの報告書を審査する予定である。この報告書では、人種、肌の色、民族または国籍に基づく人種差別からの保護を保障する同条約上の義務に関する米国の遵守状況が記載されている。
昨年11月、アムネスティ・インターナショナルは委員会に概況報告書を提出した。この中でアムネスティは、2001年に発表された米国の第1期報告書に対する委員会の最終見解以降、アムネスティが活動する中で明らかにされてきた懸念を表明している。
この概況報告書によってアムネスティ・インターナショナルは、米国憲法が法の下での平等な保護を保障しているにもかかわらず、組織的な人種差別が米国各地で今もなお続いている実態を指摘した。またこの概況報告書では、法執行機関による人種的プロファイリング(犯人特定技術)、2001年の9.11の余波をうけて拘禁された外国人に対する差別的取り扱いや、米国の囚人の中で人種・民族的なマイノリティの割合が極めて高いこと、少年司法制度や死刑判決における人種的な不均衡が見られることなどの懸念が表明されている。
さらにまた米国の報告書では言及されていない問題だが、「テロとの戦い」の流れの中で、グアンタナモ基地その他、米軍が拘禁中の非米国人に対する差別的取り扱いについても、アムネスティは懸念を表明した。また「不法な敵性戦闘員」とされた外国人が不公正な軍事委員会の手続きにかけられるおそれがあり、同様の罪に問われた米国市民に比べ、権利保障がより弱い司法規準が適用されていることも懸念している。
さらにネイティブ・アメリカンとアラスカ・ネイティブ・アメリカンの女性たちが不自然に高い割合で強かんや性的暴力の被害を被っており、その司法手続きに障壁がある。また、ハリケーン・カトリーナの直撃を受けたあと、強制避難させられたニューオリンズのアフリカ系住民の処遇についても、アムネスティは懸念を示した。
*アムネスティ・インターナショナルの概況報告書は以下を参照のこと。
http://www.amnesty.org/en/library/info/AMR51/178/2007
アムネスティ発表国際ニュース
2008年2月18日
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