- 2007年7月17日
- 国・地域:イラン
- トピック:死刑廃止
「もしも死刑が執行されれば、国際法違反である。これは倫理面からも正当化されえず、政府による自国の市民に対する憎むべき行為である」「イランは、この処刑を停止するための措置をただちにとらねばならない」とアムネスティ中東・北アフリカ部のマルコム・スマート部長は述べた。
シーナ・ペイマルドはミュージシャンである。昨年9月、殺人罪で処刑されかけた時、処刑台の上でのシーナの最後の望みは、ネイ(フルートに似た中東の楽器)を演奏することだった。被害者の遺族はこの演奏に心を動かされ、土壇場で刑の執行を猶予した。そして賠償金として、1億5000万トマン(約16万米ドル超)を要求した。しかしシーナの家族はその全額を工面できないでいた。
背景イランは引き続き、世界で最も死刑の執行率の高い国の一つである。2007年になってから、アムネスティは少なくとも124件の処刑を記録しており、年末までに、2006年の177件を超えるおそれがある。
最近イランで行なわれた2件の死刑執行は未成年時犯罪者に対するものであった。その次に行なわれたのは、男性に対する石打処刑だった。処刑された2人の未成年時犯罪者が行なったとされる罪は、18歳未満の時のものだった。2人の名前は、ムハマド・ムサヴィとサイド・カンバル・ザヒで、それぞれ4月と5月に処刑された。国際法では、何人も18歳未満の時の犯罪で処刑されないとなっており、この処刑は明らかに国際法に違反する。
政府には重大犯罪の被疑者を裁判にかける権利があることをアムネスティは認識しているが、死刑には全面的に反対している。なぜなら、死刑は生きる権利の侵害であり、残虐、非人道的かつ品位を傷つける刑罰だからである。
シーナ・ペイマルドのケースの全容およびイランにおける未成年時犯罪者の処刑に関するアムネスティの懸念について(英文のみ)は:
http://web.amnesty.org/library/index/engmde130592007
AI Index:MDE 13/087/2007
2007年7月17日
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