- 2007年4月20日
- 国・地域:トルコ
- トピック:危機にある個人
この数カ月間、ジルベ出版の社員は、宣教活動を非難するグループから殺しの脅迫を受けていたとされる。出版社は、これまで愛国主義団体の抗議運動の標的にもなっていた。
この残忍な攻撃は信教と表現の自由への攻撃とアムネスティは考える。この攻撃は、ジャーナリスト、人権擁護活動家や批判的論議に参加している人びとの表現の自由に対する、現行の法律上運用上の表現の自由への制限と、トルコで広がっている不寛容の風潮があいまった中で起きた。国際連合(UN)のコフィ・アナン前事務総長が2006年の国際寛容デーに行ったスピーチで以下のように述べたことを想起する:
「・・・個人やコミュニティ全体が、その民族、宗教、国民性やアイデンティティゆえに、残忍な暴力の標的となっている。このような脅威は、大規模なジェノサイドであっても敵対感情から来る日常的な侮辱であっても、私たちを苦しめる。寛容さ、多元主義、相互尊重、平和共存の原則を保持するようそれぞれが努力する必要がある。固定概念や歪んだイメージを正し、差別の被害者のためにいつでも声をあげなくてはならない。」「不寛容との戦いは、法律による保護の問題でもある。信教の自由、宗教に基づく差別からの解放は、国際法に法制化され、多くの国の国内法に盛り込まれてきた。」「しかし、法律は出発点に過ぎない。理解を確立する戦略は、異なる宗教、伝統、文化についての教育次第であり、それにより神話や歪曲をあるべき姿で見ることができる。また、憎悪や過激思想への誘惑に対し信頼できる代替手段を提供することで、若い人びとに機会を与える必要がある。そして、表現の自由を保護しつつ、憎悪の拡散や軽蔑の押し付けをメディアが利用することを阻止するため尽力しなければならない。」「これらすべてにおいて、公的な人物や組織によるリーダーシップが必要である。」
トルコ当局は殺害を非難しているが、この攻撃がトルコにおける極度の不寛容さの一形態を表していることをアムネスティは懸念する。この点では、2006年2月のトラブゾンでのカトリック聖職者のアンドレア・サントーロの殺害、2007年1月のアルメニア系トルコ人ジャーナリスト、ラント・ディンクの殺害が想起される。
したがって、あらゆる形態の不寛容や差別を非難し、トルコが批准している人権及び基本的自由の保護のための欧州条約や市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)にある表現・信教の自由の権利を保持するようトルコ当局に要請する。
また、これらの殺害が早急に、独立的かつ効果的に捜査され、容疑がある加害者すべてが司法の裁きを受けるようトルコ当局に要請する。
AI Index: EUR 44/006/2007
2007年4月20日
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