- 2007年4月19日
- 国・地域:アフガニスタン
- トピック:危機にある個人
「アフガニスタン市民はこの紛争の矢面に立たされている。アフガニスタン市民は、タリバン、アフガニスタン国軍、米軍やNATO諸国からの軍隊との抗争のさなかで身動きできない状況にある」と、アムネスティの調査担当上級部長クラウディオ・コルドンは述べた1。「だが、市民を攻撃対象とするという方針を故意にとっているのはタリバンだけだ―教師たちを殺害し、援助団体のスタッフを拉致し、学校を焼き払っている。」
タリバンの軍事規則「ラヘヤ(Laheya)」は、市民を攻撃対象とすることをはっきりと是認している。規則25では、タリバンからの警告を受けた後も教鞭をとり続けた教師は殴打されるべきであり、また「イスラムの教えに反したこと」を教え続けた教師は殺害されるべき、としている。同様に、タリバンによるイスラム法解釈(ファトゥーワ)や宗教的布告は、米国主導の内政干渉を支持する者には死を命じている。
過去2年間に、タリバンにより多数の市民が意図的に殺害されているが、その理由はスパイとされたためであるようだ。攻撃対象は、女性の権利擁護活動家、聖職者、政府関係者や医療従事者、教師などである。また、2005~2006年の間に、少なくとも全国で183の学校が放火により焼き払われた。
先週起きた残虐な事件では、アフガニスタン人のジャーナリストがのどを切り裂かれて殺害されたという。アジュマル・ナクシュバンディ氏(25歳)は3月に、イタリア人ジャーナリストのダニエレ・マストロジャコモ氏、アフガニスタン人運転手のサイード・アガー氏とともに人質となった。ダニエレ・マストロジャコモ氏は捕虜交換により解放されたが、サイード・アガー氏は頭部を切断された。
意図的な市民への攻撃と同様に、タリバンは無差別攻撃によって何百人もの人びとを殺傷している。国連とNATOの統計によると、2006年には、道路脇での爆破や自爆攻撃など簡易爆発物を使った攻撃で少なくとも756人が殺害されている。
「公共の場所での自爆行為などの無差別攻撃や、市民に対する意図的な攻撃などによって、タリバンは戦争犯罪を犯している」とコルドンは言う。「このような攻撃が広範囲にわたっており、タリバンの政策の一部として実行されているという事実は、人道に対する罪にもなる。」
市民に対するタリバンの立場は、国際法上の義務から程遠い。アムネスティがインタビューしたタリバンの広報担当者は、脅威ではない「非武装の」市民を攻撃することは「禁止されている」と主張している。また「我々に敵対する武装した人びとと、外国人に協力する市民は、なんら違いはない」と述べた。タリバンの軍事規則では、市民のお金や所有物を略奪することは禁じているが、教師の殺害は容認している。
「アフガニスタンで続く紛争に関わるすべての当事者は、国際法が義務付けている、市民の保護と受刑者の人道的処遇を保障しなければならない。タリバンが市民への意図的な攻撃とすべての無差別攻撃を中止することが最初のステップである」とコルドンは言う。
報告書「アフガニスタン-友人以外は敵:市民を虐待するタリバン」とその要約は以下のサイトで:http://web.amnesty.org/library/index/engasa11012007
2007年4月19日
AI Index ASA 11/002/2007
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