- 2007年2月23日
- 国・地域:フィリピン
- トピック:危機にある個人
「一連の証拠は非常に説得力があり、もはや無視することはできない。フィリピンの政治的殺害の傾向に関するかなりの証拠もある」と、アムネスティ・インターナショナルのナタリー・ヒル・アジア太平洋副部長は述べた。
「選挙期間中は緊張が高まるだろう。すべての政党が、現在の政治的殺害に終止符を打ち、選挙期間中のさらなる暴力拡大の危険を最小限にとどめるため精力的に取り組むと宣言することが、重要である」
メロ委員会の報告を受けて政府は6項目からなる行動計画を発表したが、その実施は政治的殺害を終わらせるために不可欠だ。この行動計画は、被疑者の裁判を迅速化するための特別裁判所の設置も盛り込まれている。政治的殺害に対する説明責任の欠如は、現在も重大な挑戦として残っている。過去6年以上にわたり、主に左派活動家をはじめとする殺害事件が数百件発生しているにもかかわらず、今日に至るまで有罪判決は一つも出ていない。
政治的殺害の連鎖を断ち切る上で障害となっている主たる要因の一つは、実効的な証人保護の欠如にある。目撃者は脅迫を受けているために名乗りでることを恐れている。政府は、被害者やその家族を含め、裁判手続きに関与するすべての人のために実効的な証人保護を保証しなければならない。
「フィリピンは四旬節に入るが、すべての政党と市民団体は、命を奪われた多くの人びとのことを深く考え、政治的殺害を終わらせる決意を固める必要がある。特にメロ委員会と国連専門家によって指摘されたいくつかの国軍部隊など、政治的殺害に関与あるいは共謀した者は、政府による改善策の実施を完全に支援し、調査官に協力しなければならない」とナタリー・ヒルは語った。
超法規的処刑に関する国連専門家フィリップ・アルストン氏は、初期所見で下記のように述べている。「AFP(フィリピン国軍)は、国軍に責任があると強く考えられるかなりの数の殺害に対して効果的かつ誠実に対応する必要性を、ほとんど全否定の立場を変えていない」アルストン氏は調査中、左派政党を含む全ての当事者に関してコメントした。
「武装勢力のイデオロギーを支持していたとしても、犠牲者の多くがそういった勢力のメンバーですらなかったということを、私たちは思い出すべきである。フィリピンのすべての人は自らが選んだ政党や団体に加入できるべきであり、またその結果、政治的な動機に基づいた暴力を受けるべきではない、ということが重要なのだ」
さらに詳しい情報はアムネスティ・インターナショナルの報告書「フィリピン:政治的殺害、人権、そして和平プロセス」をご覧ください。
https://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/images/article/philipinAI_IndexASA350062006.pdf
アムネスティ発表国際ニュース
(2007年2月23日)
AI Index: ASA 35/001/2007
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