- 2007年2月20日
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
刑罰一般の厳罰化傾向も強く、死刑だけでなく、有期刑の言渡し刑期も延びている。その背景として、日本国内の治安に対する不安がメディア等で多く取り上げられることが挙げられる。しかし、統計上のデータは治安の悪化を否定している。これは、治安が悪化しているという不安が先走っているためと多くの専門家が指摘している。厳罰化によって、犯罪不安は除去されない。むしろ厳罰化の風潮が広まることによって、不安が増大するとの指摘もある。
世界では、死刑を廃止する国が増えている。死刑制度を存置する国の中でも、死刑への依存を減少させたり、制度を見直す国が増えている。米国は昨年、死刑判決数が前年比で減少した。死刑囚の数も減少している。2000年から今日まで、薬物注射による処刑方法が違憲であるとの判断などが出され、13の州で死刑執行が停止している。また、死刑存置州のうち18の州では、死刑執行停止または死刑廃止法案を審議している。中国では第1審で確定した全死刑判決を、2007年1月より最高人民法院で再審開始することが決定した。レバノンでは死刑が適用される範囲を狭める法案が上程された。ロシアでは死刑執行停止を2010年まで延長する法案が昨年末に可決された。
今年2月初め、パリで第3回死刑廃止世界大会が開催された。90カ国以上から何百人もの人びとが参加し、最終日のデモ行進には市民も合わせ3千人以上が参加した。同大会で採択された最終宣言では、いかなる権力も人の命を奪う権利はなく、死刑は残虐かつ非人道的で品位を傷つける刑罰であることが確認された。
死刑の問題は人権の問題である。国家の制度によって、人の生命を奪うことは許されない。国際社会はそれを受け入れはじめ、死刑制度を廃止する国は年々増加している。日本でも死刑制度存置の可否を人権の側面から考える議論が起きることをアムネスティは期待する。
アムネスティ・インターナショナル日本支部声明
2007年2月20日
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