- 2006年12月 8日
- 国・地域:フィリピン
- トピック:危機にある個人
スルピシオ・コンフィアド一等書記官兼領事との会談の中で、日本のNGOは、フィリピンにおいて合法左派政党の活動家、教会関係者、ジャーナリスト、その他の社会活動家の政治的殺害が増加していることを非常に憂慮していることを伝えた。
アロヨ大統領は去る7月の一般教書演説において活動家の暗殺を非難した。そのような姿勢を歓迎する一方、私たちは、政治的殺害がおさまる気配を見せていないこと、さらに暗殺に関与した人物が裁かれるという前向きな兆候が見られないことに懸念を表明した。とりわけ私たち日本のNGOは、共産主義者に対する「全面戦争」が宣言されたこと、また政府批判者を「国家の敵」としてレッテルを貼ることが、超法規的処刑の増加に拍車をかけていることを憂慮している。
寺中誠・アムネスティ・インターナショナル日本事務局長は、暗殺を予防するための断固とした対策が早急に必要だと強調した。
真野玄範・日本キリスト教協議会幹事は、日本の教会がフィリピンの教会と30年以上にわたって関係を築いてきたことから、署名活動に参加したことを説明した。また、フィリピン国軍がキリスト教会やその他の合法的な市民社会の団体を「国家の敵」としてリストにあげているが、そのような政策が民主国家によって実行されていることに驚きを隠せないと語った。
また、国際環境NGO FoE Japan開発金融と環境プログラム担当の神崎尚美氏は、日本の融資によるサンロケ多目的ダムに反対していた地元の農民組織代表ホセ・ドトン氏が5月16日に射殺された、パンガシアンの事件に触れた。特別捜査班ウシグとメロ独立委員会が設置された後も、事件はいまだ解決していない。FoE Japanは同事件に関する調査を迅速に進めるよう、要請した。
ルピシオ・コンフィアド一等書記官兼領事は、署名とともに日本のNGOの要請をフィリピン政府に届けると回答した。また、同国に政治的殺害を容認する国家政策はない、と主張した。アムネスティ日本の川上園子・国際キャンペーン担当は、暗殺と免責が続く限り、国際社会はそのようなフィリピン政府の言葉に疑問を持つだろうと指摘した。
署名は、下記をフィリピン政府に要請している。
- 政府内のあらゆるレベルですべての政治的殺害を非難すること。
- 上級官僚や公権力が第三者に不法な殺人を命令、扇動、あるいはそれとなく仕向けることを禁止すること。
- 指揮系統外でありながら政府に支援または黙認されて活動している「死の部隊」、私兵、自警団、犯罪集団、準軍事組織を禁止・解散すること。
- 政治的殺害に関するすべての申し立てと報告を迅速かつ公正、効果的に調査を実施すること。
- 政治的殺害の加害者を、国際基準に則って裁判にかけること。
- 証人保護プログラムと証人の保護、安全および利益に関する法律を完全に実施し、訴訟での証人出席を保障する安全かつ信頼性の高い枠組みを確保すること。
会談の最後に、私たち日本のNGOは、フィリピン・セブ島で12月11、12日に行われるASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会合の期間中、超法規的処刑を止めるためのさらなる対策をアロヨ大統領が声明を出すよう求めた。
会談の後に大使館前で、すべての暗殺の犠牲者を追悼した。
今回の署名は日本の6団体が推進し、10月16日から11月末日まで行った。日本や海外の1325人が署名に賛同し、緊急に政治的殺害への対策を要請した。
また、私たちは日本の団体として、セブ島でのASEAN首脳会合の期間中に日本政府が政治的殺害に関して公式に懸念を表明するよう求める。11月27日の国会質問に対して浅野勝人外務副大臣は、日本政府は同問題について在京フィリピン大使に懸念をすでに伝えており、今後、フィリピン政府にも伝え、対フィリピンODA供与に際して日本のODA憲章に基づいて考慮すると答弁した。
フィリピンの政治的殺害を止めよう!署名キャンペーン 呼びかけ団体社団法人アムネスティ・インターナショナル日本/国際環境NGO FoE Japan(Friends of the Earth)/日本キリスト教協議会(NCC)/『日比友好50周年』を問い直す市民・NGOのつどい実行委員会/フィリピンのこどもたちの未来のための運動(CFFC)/WAYAWAYA
2006年12月7日
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