- 2006年10月25日
- 国・地域:ロシア連邦
- トピック:危機にある個人
「チェチェンで人権を侵害された人びとのために歯に衣着せぬ発言をしてきた団体を排除すべく、入念な作戦が練られた。本日の判決は、一連の作戦の最新の動きだと思われる。」アムネスティの欧州・中央アジアプログラム部長ニコラ・ダックワースはこう語った。
「作戦はRCFSの活動家らに対する嫌がらせから始まった。そして活動を麻痺させるべく、RCFS自体と職員に対して同時に法的措置を取るまでにエスカレートした。」
判決の根拠となった新法によると、非政府組織(NGO)が「過激派」活動家として有罪判決を受けた者に率いられることは違法である。RCFS代表スタニスラフ・ドミトリエフスキーは、チェチェン独立派指導者が書いた暴力的でない記事を発表したとして2006年2月3日に「人種憎悪」罪で有罪となった。アムネスティの見解では、ドミトリエフスキーは表現の自由の権利を平和的に行使しただけであって、そもそも裁判にかけられるべきではなかった。
「この誤った有罪判決はスタニスラフ・ドミトリエフスキーを個人的に苦しめただけでなく、評価の高い人権擁護団体を閉鎖させる根拠となった」とニコラ・ダックワースは言う。
「これは新NGO法による成果第1号なのか?人びとの声をさらに弾圧する計画の青写真なのか?」
スタニスラフ・ドミトリエフスキーに対する有罪判決は破棄されるべきであり、ロシア・チェチェン友好協会は重要な活動の継続を許可されるべきである、とアムネスティは考える。
判決によりRCFSに2ヶ月の閉鎖準備期間が与えられた。その間に上告が可能である。スタニスラフ・ドミトリエフスキーは、ロシア連邦最高裁に上告すると語った。
「こんな判決を受けたからといって人権擁護活動を停止することはない。何らかの方法で続けていく。我々がこれで黙ると当局が考えているなら、それは間違いだ。」
背景情報
RCFSはチェチェンをはじめ北コーカサス各地で人権侵害を監視している。ニージニー・ノブゴロド市と北コーカサスのスタッフやボランティアが「失踪」などの深刻な人権侵害に関する日刊プレスリリースを発行し、RCFSの「ロシア・チェチェン情報局」が配布している。2005年、税務署と司法省登録部が同時にRCFSを訴えた。これと並行してスタニスラフ・ドミトリエフスキーとスタッフのオクサーナ・チェリシェバを「裏切り者」、「テロリスト」支持者と非難するチラシが配られ、2人に対する脅しとなった。
アムネスティ国際ニュース
(2006年10月13日)
AI Index: EUR 46/048/2006
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