- 2006年10月11日
- 国・地域:ロシア連邦
- トピック:危機にある個人
そのことによって大統領は、人権活動家と独立ジャーナリスト、そしてロシア社会における彼・彼女らの重要で正統な役割に対する支持を公に示すことになる。
プーチン大統領に宛てた書簡に、アイリーン・カーン・アムネスティ事務総長は下記のように記した。
「私たちは、ロシアの最高権力者である大統領が、強い政治的な支持声明を出すことが重要だと考えています。声明は、独立ジャーナリストと人権活動家に対する攻撃は容認できないことであり、加害者は徹底した捜査と起訴に直面するであろうことを明確にしなくてはなりません」
アムネスティは、ジャーナリストであるアンナ・ポリトコフスカヤ氏が10月7日殺害されたことについて、衝撃を受け、愕然としている。アムネスティは、ポリトコフスカヤ氏は恐らく、チェチェンやその他の地域の人権侵害を報道するという同氏のジャーナリストとしての活動によって標的にされたと考える。このような殺害が、ロシアにおける表現の自由とメディアの独立性に対する深刻な攻撃であることは疑いない。
「私たちは、検察がポリトコフスカヤ氏の殺害に関して捜査をすぐに開始し、ユーリ・チャイカ検察庁長官が捜査の指揮をとっていることに注目しています。私たちは、捜査が迅速に、徹底して、公正に行われることを保証するよう、ロシア政府に要請いたします。捜査結果は公にされなければならず、被疑者は国際人権法に則って裁判にかけられなくてはなりません」と、アイリーン・カーンは書簡の中で強調した。
アムネスティはまた、プーチン大統領がアンナ・ポリトコフスカヤ氏の殺害を捜査するためにすべての必要な対策を講じることを表明したこと、そしてチェチェン共和国の大統領と首相が同氏の殺害を強く非難したことに注目する。
「しかし、ロシア政府はより強く、ロシアの人権活動家と独立ジャーナリストを支持し保護する必要があります」
アムネスティはロシア内外のNGOとともに今年3月、ロシアが欧州評議会閣僚委員会の議長になったことを受け、プーチン大統領に書簡を出し、人権活動家と独立メディアに対する支持を表明するよう要請した。去る7月、市民G8の期間中に大統領はアムネスティを含むロシア内外のNGOと会談した。
「プーチン大統領は、活動家とジャーナリストに対する悪質な攻撃に個々に対応し、そのようなイニシアチブを通して後に続かなければなりません。そのような対応がなくては、市民G8のようなイニシアチブが単なる宣伝活動になってしまう危険があります」アイリーン・カーンは語った。
アムネスティはまた、ロシアにおける人権活動家と独立ジャーナリストに対する嫌がらせや脅迫事件に関するすべての報告を当局が捜査し、法執行官を含む国家機関のあらゆるレベルの官僚が人権活動家と独立ジャーナリストの活動の正統性を尊重し、彼・彼女らが妨害や脅迫を受けずに活動を続けられることを、プーチン大統領が個人的に保証するよう要請した。
「プーチン大統領は、ロシアにおける独立メディアとNGOの権利を擁護することに絶対的な責任を示さなくてはなりません。プーチン大統領の個人的な意欲がなければ、ほとんど何も変わらないでしょう」
アムネスティ発表国際ニュース
(2006年10月10日)
AI Index: EUR 46/045/2006
■緊急追悼集会
「アンナ・ポリトコフスカヤの暗殺とロシア・チェチェン戦争」
10月12日午後7時、文京区民会館で緊急の追悼集会が行われました。たった1日の呼びかけにもかかわらず、170人を越える人が集まり、アンナ・ポリトコフスカヤさんを偲びました。同時に、プーチン政権下においてジャーナリストの暗殺が増えている問題、ポリトコフスカヤさんがこだわり続けたチェチェン紛争とは何かについて、ノンフィクションライターの林克明さん、フリージャーナリストの稲垣收さんから報告がありました。
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