- 2006年9月25日
- 国・地域:インドネシア
- トピック:死刑廃止
この3人のケースをきっかけに、ここ数ヶ月間インドネシアでは死刑の適用について全国で議論されていたが、それにもかかわらず死刑が執行されたことに、アムネスティ・インターナショナルは深く失望する。
死刑は残虐で非人道的かつ品位を傷つける究極の刑罰であり、いかなる人にも適用すべきではない。全世界が死刑を廃止し続けている中での今回の3人の処刑は尋常ではない。とくに今回のケースのように、裁判の公正さに大きな疑問の余地がある場合は、国家による殺人はなおさら容認しがたい。
2000年5月に中部スラウェシ州のポソで起きた部族間および宗教間の暴力事件の後、2001年4月に、ファビアヌス・ティボ、ドミンガス・ダシルバ、マリナス・リウの3人は計画殺人と暴動扇動の罪で、同州のパル地方裁判所で死刑判決を受けた。裁判は不公正だったとの報告をアムネスティは受け取っている。とくに、被告人側の証拠として提出された目撃証言を、評決に際して裁判所が無視した可能性があるという懸念がある。それだけでなく、石を持ったデモ隊が裁判所の外で3人に対する死刑判決を要求し、弁護人たちは殺すと脅迫されるなどのいやがらせを受けた。ある弁護士は、自宅に爆弾を埋められた。しかし、当局は裁判の見直しを行なわなかった。
インドネシアの隣国フィリピンは、今年6月に死刑を全面的に廃止した。フィリピンのアロヨ大統領は、死刑は「凶悪犯罪を効果的に抑止しない」ことが証明されたと宣言した。フィリピンは、死刑を法律上あるいは事実上廃止している125番目の国となった。
インドネシアは国連人権理事会の理事国であり、また自由権規約(ICCPR)の批准国でもあるが、本日の死刑執行によって、生きる権利という最も基本的な権利を保護することで東南アジアにさらなる人権尊重の流れを構築するフィリピンに続く機会を失なった。
インドネシアには少なくとも90人の死刑囚がいると考えられる。アムネスティの記録によれば、今回の死刑執行の前は2005年5月だった。他のすべての死刑囚の運命が非常に危ぶまれる。
アムネスティはインドネシア政府に対し、すべての死刑執行を停止し、すべての死刑判決を減刑し、死刑廃止への1歩をただちに踏み出すよう求める。
アムネスティ国際ニュース
(2006年9月21日)
AI Index: ASA 21/017/2006
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