- 2006年9月 1日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
不発クラスター爆弾による被害者の新たな情報を発表するにあたりアムネスティは、そのような兵器を使用したことに関する包括的で公正な調査に協力するよう、イスラエルに求める。
アムネスティの要請に先立ち、イスラエル軍によるクラスター爆弾攻撃の90パーセントが、停戦が発効する直前の72時間に行われたという国連の報告書が公表された。国連地雷行動調整センターによると、これまでのところ、クラスター爆弾によって攻撃された地域が400か所以上あり、10万個以上の小型の不発弾が散らばっている。
アムネスティのレバノン調査団は、いくつもの村むらで、場合によっては家の中でも、多数の不発弾を発見している。
「居住地域の中心でのクラスター爆弾の使用は、無差別攻撃の禁止に反し、したがって国際人道法の重大な違反にあたる」と、アムネスティのケイト・ギルモア事務局次長は語った。「国連の公式な要請にもかかわらず、イスラエルがいまだにクラスター爆弾を投下した地域の地図を提出していないことは、言語道断だ。地図の未提出は、レバノンの一般市民、とりわけ子どもたちの生命をさらに危険にさらしている」
クラスター爆弾は小型爆弾を広範囲に撒き散らし、その多くは投下の衝撃では爆発せず、住民にとって致命的な不発弾となって残存する。
「クラスター爆弾は事実上の対人地雷だ。イスラエル軍によってレバノンで広範に使用されたことで、故郷に帰還する途中の何十万という老若男女に多数の犠牲者が出ている。イスラエルやその他の国に対する主要な武器供給国である米国は、そのような武器を供給すべきではなく、クラスター爆弾の国際的な使用停止を表明すべきだ」と、ケイト・ギルモアは語った。
最近のアムネスティ・レバノン調査団は、南レバノンの故郷に帰還しようとする何十万ものレバノン市民のうち、クラスター爆弾の不発弾の被害にあった数人から聞き取りを行った。
6歳のアッバス・ユセフ・シビは、8月26日にブリダ村でクラスター爆弾を拾おうとしたとき、どのようにそれが爆発したかをアムネスティ調査員に教えてくれた。病院のベッドに横たわりながら彼は、3人の友たちと遊んでいたときに、「香水ビン」のように見えたものを拾ったのだと話してくれた。アッバスの大腸、胆のうは破裂し、肺に穴があき、内側神経が引き裂かれ、現在も多量の輸血を受けている。3人の友だちも負傷したが、2日後に退院した。
隣の病室では、38歳のマフムッド・ヤクブが、クラスター爆弾を踏んで負傷した脚にギプスをはめて横たわっていた。マフムッドはイスラエル軍による攻撃の間に、羊に水を飲ませることができず、21頭を失ったと語った。紛争中、マフムッドは羊を外に出すことがほとんどできなかった。停戦後の今、クラスター爆弾が羊たちの牧草地である丘の上に散乱している。
違う病院でアムネスティは、手術後も昏睡状態が続いている13歳のハッサン・フセイン・ハマディを訪ねた。家族によると、ハッサンは8月27日、ティールのデイル・アルカヌン村にある自宅の庭で5人の弟妹たちと遊んでいるときに小型の缶状タイプのクラスター爆弾を拾い、それが爆発した。爆発によって右手の4本の指が吹き飛び、小指しか残らなかった。また、肩と腹部に重傷を負った。
19歳でベイルート・イスラム技術機関の学生であるフセイン・カドゥ(上写真)は、8月28日にレバノン南部のソウルタニエ村で、サッカー場に隣接する道を歩いていたときにクラスター爆弾で重傷を負った。アムネスティ調査団がその翌日に現地を訪れると、不発のクラスター爆弾が散乱し、中には小道のすぐそばに落ちている不発弾もあった。小道には、まだ血痕がはっきりと残っていた。フセインは腸と肝臓の出血のため大手術を受けた。腸と肝臓の出血は止まったが脳内出血はまだ続いている。術後の経過はきわめて厳しい。
イスラエルによるクラスター爆弾の使用は、このような兵器の使用と、紛争中のその他のイスラエル/ヒズボラ双方による国際人道法違反に関する、早急かつ包括的な国連調査の必要性を明確に示していると、アムネスティは改めて強調する。
TAKE ACTION!
アムネスティでは、こうしたクラスター爆弾の使用も含め、イスラエル軍/ヒズボラ双方による国際人道法違反に関する包括的な調査を求めるアクションを展開しています。日本をふくむ、国連安保理の理事各国に、早急に調査をするよう求めてください。
アムネスティ国際ニュース
(2006年8月31日)
AI Index: MDE02/021/2006
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