- 2006年6月14日
- 国・地域:米国
- トピック:「テロとの闘い」における人権侵害
また、グアンタナモの拘禁施設に5人からなる国連の専門家グループが早急かつ制限なしに入ることを認め、とりわけ立会人なしに被拘禁者に専門家が聞き取り調査を行うことを許可するようアムネスティは米国政府に要請した。
死亡した被拘禁者は、サウジ国籍のマネイ・ビン・シャマン・ビン・トゥルキ・アルハバルディ・アルオタイビさんと、拘禁された当時は17歳だったと報道されているヤセル・タラル・アブドゥラ・ヤヒア・アルザラニさん、そしてイエメン国籍のアリ・アブドゥラ・アフメッドさんである。
「これは、起こるべくして起こった悲劇だ。徹底した独立調査が緊急に必要であり、とりわけ、海軍刑事調査局が開始した調査を妨げる危険がある声明を米国の軍や政府の上級幹部が発表している中ではその必要性が増している」とアムネスティのロブ・フレア米国担当調査員は語った。
コリーン・グラフィ米国外務副次官補が「注目を引くためには格好の宣伝行為だ」と言って被拘禁者3人の死を片付けてしまったことは、人間の命をいかに冷酷に軽ろんじているかを示している。
アムネスティはまた、グアンタナモ共同特別班司令官ハリー・B・ハリス米海軍少将が、3人は絶望の末に自殺したのではなく、「常軌を逸した戦闘行為」の遂行として自殺したのだと述べたことに対して深く憂慮している。
「司令官の声明は、まったく不適切であり、司法の場で自らの拘禁について異議を申し立てる機会をこれまで決して与えられなかった被拘禁者に対し推定有罪とする政府の釈明パターンを踏襲するものだ」とフレア調査員は語った。
さらに、被拘禁者の精神的苦痛に無頓着であることを軍当局は自ら明らかにしている。これまで、軍の精神科医は自殺未遂を「操作的な自傷行為」と分類しなおし、結果として公的に記録された自殺未遂の割合を減少させたと報道されている。
すでに釈放され、アムネスティが聞き取り調査を行った人びとをはじめ、被拘禁者は、グアンタナモ体制の特質である無期限の隔離拘禁が精神に与える衝撃の強さを語っている。この様な拘禁状況は、国際法が禁止している残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いに相当するとアムネスティは判断している。
「起訴も裁判もないまま何年も拘禁され続けることにより、精神的に非常に障害を受け、自殺しようとするグアンタナモの被拘禁者がいることにアムネスティは長期にわたり懸念を表明してきた」とフレア調査員は語った。
「この人権のスキャンダルに今こそ終止符を打ち、早急に被拘禁者を公正な裁判にかけるか、さもなければ十分な安全策を施したうえで釈放することを保証する権限をブッシュ米大統領は持っているのだ」と続けた。
グアンタナモ拘禁施設の閉鎖を求める国際的な圧力は高まっている。
3年前、被拘禁者と面会できる唯一の外部団体である赤十字国際委員会は異例の声明を出し、グアンタナモにおける無期限の拘禁が被拘禁者に甚大な精神的被害を与えていると憂慮の念を表明した。
拷問等禁止国連委員会は先月、高まりつつあるグアンタナモ湾の拘禁施設閉鎖要求の声に加わり、起訴もないままの無期限拘禁は、それ自体が拷問等禁止条約違反であると結論づけた。
アムネスティは、グアンタナモの拘禁施設の閉鎖を改めて訴える。閉鎖は、無法地帯を他に移転することなく実施されなければならない。米国が管轄する「テロとの戦い」関連の拘禁施設はすべて公開すべきであり、拘禁施設は完全に国際法を順守するものにしなければならない。釈放が予定されており、かつ人権侵害の危険があるために自国に送還できない被拘禁者には、米国が十分な保護を提供しなければならない。必要であれば、第三国も支援すべきである。
また、国家間移送(レンディション)と秘密拘禁をはじめとする、「テロとの戦い」における米国の拘禁と尋問に関する方針とその実施にまつわるあらゆる問題を調査する完全に独立した委員会の設置をアムネスティは改めて求める。
被拘禁者の死に関するその他の動きでは、6月10日、軍事委員会の委員任命責任者であるジョン・D・アルテンバーグ氏が、軍事委員会によるすべての手続きを中止するよう命じた。裁判前の審問が今週と来週に実施される予定だった。
公正な裁判の国際基準からかけ離れた軍事委員会による裁判にアムネスティは反対している。軍事委員会の設置を定めた2001年11月13日に発布された軍事指令を撤回するようアムネスティはブッシュ大統領に対し訴え続けている。大統領はこの件に関する連邦最高裁判所の判決を待つ必要はないのである。
アムネスティ国際ニュース
(2006年6月12日)
AI Index: AMR51/091/2006
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