- 2006年4月11日
- 国・地域:ネパール
- トピック:危機にある個人
「過剰な武力行使を正当化するより、市民の生命を保護する法律に基づいて警察や軍が行動することを、政府は保証すべきである」と、アムネスティのアジア太平洋部長プルナ・センは述べた。「さまざまな禁止命令、夜間外出禁止令、数百人規模の恣意的な逮捕によって平和的な抗議行動を規制することは、すでに一触即発的になっている状況を単に刺激するだけだ」
「しばしば暴力的になった抗議行動を抑えようとした治安部隊によって、この週末3人が殺害され多くが負傷した。また内務大臣は、抗議者に対してより徹底した行動を取る可能性があると、それとなく脅しをかけた。
ネパール国内の観測筋は、街頭にいる抗議者と治安部隊の数は増え続けており、双方とも一層暴力的な手段に訴えていると報告している。ネパール各地の抗議行動の多くが平和的に行われている一方、いくつかの行動は好戦的で、中には石やレンガやボトルなどの物を治安部隊に向かって投げている。
昨日の記者会見で内部大臣は、「政府は今のところ、最大限に抑制した対応を保っている。しかし、我々はこれ以上静かな傍観者にとどまるつもりはない」と警告した。
政府治安部隊は、これまで最大限の抑制を保ってはいなかったし、自らを「静かな傍観者」と呼ぶこともできない。治安部隊が抗議者を殴り、蹴り、石を投げているところが目撃されている。多くの場合、治安部隊は、抗議者たちを抑えつけた後で繰り返し殴ったり虐待を加えたりしている。地元の報道関係者や人権団体によると、留置場に入れられた抗議者たちの中には、ひどく負傷している者もいる。また、カトマンドゥの治安部隊は、デモ行進があった地域の家々に押し入り、 住人に暴行を加て家具などを破壊し、さらに何人かを拘束したという現地からの報告がある。
「政府は、治安部隊による武力や銃火器の乱用に関するすべての容疑について迅速かつ公正な調査を実施する命令を下さなくてはならない」と、プルナ・センは述べた。「被害者やその家族は、公正な裁きと賠償を受ける資格がある」
政党の代表者らによると、先週から推計1,000人以上が拘束された。今回の抗議行動を呼びかけた主要7政党は、そうした行動を制限するためにさらなる手段をとると政府が警告しているにもかかわらず、今後も継続すると宣言した。
アムネスティ・インターナショナルは、平和的な政治的抗議を行う権利を尊重するよう、ネパール政府に繰り返し要請してきた。
政府は夜間外出禁止令下の外出許可証の支給を制限しているが、これは明らかに、抗議行動を取り締まる治安部隊の行動に対する市民の監視を制限する目的だと、地元の報道関係者や人権活動家は指摘している。警察による暴行事件を取り上げようとした人権活動家の中には、自身が暴行や嫌がらせを受けた者もいる。
アムネスティ国際ニュース
(2006年4月10日)
ASA 31/018/2006
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