- 2006年3月31日
- 国・地域:グアテマラ
- トピック:強制立ち退き
アムネスティの報告書は、小作争議の背景、暴力的な強制立ち退きが及ぼす影響、立ち退きのあらゆる場面で見られる、農民や先住民族への差別について取り上げている。
アムネスティのアメリカ・プログラム部長のジャビエ・ズニガは、「農民と先住民族の人権に対する責任を放棄する一方で、当局は、裕福な地主の要求に応じてすぐに強行策をとる」と語った。
「2004年の就任以来、ベルシェ大統領は強制立ち退きを急速に進めており、その結果生じる人権侵害には目を閉じている。家は破壊され、適正な手続きは無視され、殺人までもが何ら処罰もなくまかり通っている」とジャビエ・ズニガは指摘した。
土地紛争は、小作民が労働の基本権の履行を求めて抗議行動の一環として土地を占有したり、土地の所有権をめぐって問題が生じた時におこる。
政府の統計によると、2005年12月の時点で1,052件の小作争議が未解決のままとなっており、2004年10月の911件から増加している。
アムネスティの報告書にはいくつかの事例が含まれている。
2004年、トレセアグアス農場の先住民族ケクチの90世帯の農民は、解雇に対する当然の見返りとして与えられたと思っていた土地から出て行くことを拒否したことによって、家を失う結果となった。
彼らは強制的で暴力的なな方法で立ち退かされ、いまだ補償金の支払いを待っている。
北グアテマラのアルタ・ベラパスに位置するトレセアグアス農場は、地元のコーヒー生産農民の主要な雇用主である。コーヒーの価格が下落した時に、その影響を真っ先に受けたのは彼ら農民であった。
アムネスティの報告書は、グアテマラのほかの地域で起こった同様のケースについても報告している。たとえば、やはりアルタ・ベラパスで、サンタ・イネスという小さな農村の人びとが、その土地に対する所有権を主張する人物から、今回で3度目となる立ち退きを迫られている。複数の政府機関が、土地に対するその農村の所有権は正当なものだと認めたにもかかわらず、立ち退き命令が許可された。過去2回の強制退去では、数軒の家屋が破壊された。
36年におよぶ暴力的な内戦を終結させた1996年のグアテマラ和平合意には、土地問題を解決し、農民とその地域共同体が人権を享受できるようにすることを保証するための具体的措置を講じるという政府の公約が盛り込まれていた。
現在のところ、なんの措置も取られていない。
スペイン、カナダ、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、日本および米国などの外国政府は、和平合意を果すための取り組みがなされるよう、グアテマラ政府に援助し続けている。
「和平合意で交わされた公約を無視することで、グアテマラ政府は、土地問題に対する長期的な解決を得る機会を失っている」とジャビエ・ズニガは語った。
背景情報
アムネスティの報告書は、2004年から2006年までの間に実施された3回のグアテマラ調査にもとづいている。
報告書「Guatemala: Land of injustice?(グアテマラ:不正義の土地)」は、下記のサイトでご覧になれます。
http://web.amnesty.org/library/index/ENGAMR340032006
アムネスティ国際ニュース
(2006年3月29日)
AMR 34/011/2006
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