- 2006年2月 7日
- 国・地域:カンボジア
- トピック:危機にある個人
「私たちは、政治的意見を平和的に表明しただけの理由で拘禁されたチェアム・チャニー氏の釈放を歓迎する」と、アムネスティの東南アジア調査員であるブリティス・エドマンは語った。「アムネスティは、これを最後に政治的反対者を沈黙させるために政治的意図に基づいて裁判を実施しないように望む」。
チェアム・チャニー氏は2005年2月3日に拘束され、同年8月、裁判によって違法な武装集団の創設と詐欺的行為で有罪判決を受けた。裁判は、公正な裁判に関する国際基準とは程遠いものだった。裁判は、チェアム・チャニー氏のような民間人を裁く管轄権のない軍事法廷で行われた。同氏は7年の刑を言い渡された。アムネスティ・インターナショナルによると、同氏への起訴に根拠はなく、アムネスティは同氏の無条件かつ即時の釈放を求めてキャンペーンを展開した。
野党指導者のサム・レンシー氏もまた、国王によって恩赦が与えられた。サム・レンシー氏は2005年12月、政府指導者への名誉毀損で起訴され、被告不在の状態で8ヵ月の刑を言い渡された。同氏はおそらく今週、亡命先から帰国する予定である。
政府の弁護士らはまた、ベトナムとの国境問題についてフン・セン首相を批判した活動家数人に対する刑事訴追も取り下げると公表した。
背景情報
2004年に連立政権が樹立されて以来、政治批判への弾圧の中で野党政治家や人権活動家が標的にされるなど、カンボジアの人権状況は悪化している。直接あるいは間接的に政府の政策を批判したと理由で著名な市民社会の活動家らが拘束され、名誉毀損その他の罪で起訴されるなど、表現の自由の権利が深刻な脅威にさられている。アムネスティ・インターナショナルはまた、平和的な意見を圧殺するために法廷が利用され、不安定なカンボジア司法の統合性と独立性をさらに弱体化させていることを非常に憂慮している。
アムネスティ発表国際ニュース
(2006年2月6日)
AI Index: ASA23/005/2006
良心の囚人
暴力を用いてもいないのに、思想や信条、宗教、性別、人種、肌の色などを理由に囚われた人々をアムネスティは「良心の囚人(prisoner of conscience)」と呼び、無条件、即時の釈放を要求している。
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