60年代後半のイギリスで起きたブルーズ・ブームのきっかけを間接的に作ったのがビッグ・ビル・ブルーンジーでした。ディクシーランド風のジャズ・バンドを率いるトロンボーン奏者クリス・バーバーが50年代に彼を前座にしてツアーで回ると、各地でビッグ・ビルの緻密なギターの演奏と、弾き語りにしては意外に都会的な歌にノック・アウトされた若者が次々とギターを買い、ブルーズの宣教活動に取り組むようになったのです。
ブルーンジーは、20年代からシカゴでプロ活動をしていたヴェテランでした。まだ公民権運動も始まっていなかった49年に彼は人種差別の実態を皮肉っぽく伝える曲『Get Back (Black, Brown and White)』を作りましたが、当時のアメリカではこれを発売してくれるレコード会社はなく、2年後にフランスのヴォーグ・レコードから出ることになりました。初期のプロテスト・ソングと言えるこの曲では、遊びの場でも、職探しの場でも、賃金格差をめぐる話でも、人種差別が繰り返し歌われます(歌詞参照)。
あれからほぼ60年経った今のアメリカ社会は、当時と比較して、どの程度前進したのでしょうか。
They says "If you is white, you's alright,
if you’s brown, stick around,
but if you's black, oh, brother,
get back, get back, get back."
奴らは言う
あんたが白けりゃ問題なし
褐色ならいてもいいや
でも黒いんなら、さっさと退きな...
CDを購入する
▽ 下記のリンクよりご購入ください。