- 最新情報:
- 2019年7月12日 (stop情報)
- 更新履歴:
- 2019年6月26日
- 国名:
- スリランカ
- 対象者:
- 死刑囚13人(男女)
- 期限:
- 2019年8月12日
- 配信日:
- 2019年6月26日
- UA No:
- 045/2019
スリランカのマイトリーパーラ・シリセーナ大統領は、早ければ6月24日の週に死刑執行令に署名する用意があるという。情報が正しければ、13人の死刑囚が処刑されるおそれがある。執行予定日も、対象となる死刑囚もまったく公表されていない。死刑囚が公正な裁判を受けたか、弁護士と接触してきたか、恩赦の手続きがされたのかなど、確認できないことばかりだ。スリランカは、40年以上にわたり、この残虐で、非人道的で、品位をおとしめる究極の刑罰を執行してこなかった。処刑という「報復」ではなく、生命を生かすという選択を守り続けてきた。
死刑は、権力を誇示するのではなく、その弱さを示す。それは、生命に対する権利が守られる血の通った社会づくりに失敗したことを意味する。スリランカは、刑罰の名のもとにさらなる命を奪ってはならない。
薬物関連の犯罪撲滅への取り組みは、理解できる。しかし、死刑が犯罪を抑止する効果があることを示す根拠はない。また、薬物犯罪に死刑を執行すれば、国際法と国際基準に違反する。また執行は、不公正な裁判で死刑判決を受けた死刑囚の命を奪う。死刑囚の多くが、マイノリティーや社会的弱者であることも懸念される。
スリランカは、死刑の停止を継続し、死刑囚を減刑するべきだ。長年続けてきた死刑の不執行を続け、死刑の全面廃止を視野に、死刑の執行の全面停止措置を検討すべきだ。
大統領は、3月に死刑の執行を決断したと発表したが、執行日は明らかにしなかった。4月のキリスト教会等での襲撃事件の影響で、死刑再開の手続きが中断されていたといわれている。大統領は6月20日、7月1日までを「全国薬物撲滅週間」にすると発表した。この期間中に死刑が執行されると報道されている。
国際基準が求める公正さに欠ける司法手続きで死刑が科されることには、大きな懸念がある。また、取り調べでは拷問が日常的に行われていると、スリランカ国家人権委員会は指摘する。拷問を加えてもなんのとがめもないことも、拷問の蔓延を許している。
不公正な司法手続きの末、死刑判決が下され、死刑執行で命を絶たれるという不条理が起こる。
死刑囚13人がどのような司法手続きで死刑に至ったのか、恩赦の審理があったのか、などの情報は開示されていない。死刑執行再開をめぐる情報が一切、公表されないため、適正手続きの阻害に拍車がかかるおそれがある。
アムネスティは、いかなる死刑にも反対する。死刑は、生きる権利の侵害であり、残虐で非人道的かつ品位を傷つける究極の刑罰である。アムネスティは、40年以上にわたり死刑廃止を世界に訴える運動をしている。
- 最新情報:
- 2019年7月12日 (stop情報)
- 更新履歴:
- 2019年6月26日
- 国名:
- スリランカ
- 対象者:
- 死刑囚13人(男女)
- 期限:
- 2019年8月12日
- 配信日:
- 2019年7月12日
- UA No:
- 045/2019
スリランカの最高裁判所は7月5日、10月29日の次回の公判まですべての死刑執行命令を保留すると発表した。シリセーナ大統領が6月26日に4件の執行命令書に署名したことに対し、基本的人権の保護を求める嘆願書が12件、提出された。裁判所は今後、執行の中止を求める嘆願を審理する。
嘆願書には、執行対象となった4人の選択が恣意的で、秘密裏の執行計画や準備は、囚人の権利の侵害だとするなどの指摘があった。
今回の最高裁の判断の背景には、大統領の執行命令書の署名に対して、国内外から批判が集まったことがある。国内の裁判所、メディア、街頭、ソーシャルメディア、議会の全会派などに加え、国際社会も、死刑執行に反対する声を上げた。
アムネスティも、大統領に対し、死刑には特に犯罪を抑止する効果はあるわけではないなどとして、死刑の再開を中止するよう求めた。
スリランカで最後に死刑が執行されたのは、1976年だった。この30数年間で2度、大統領が死刑を再開しようとしたが、執行には至らなかった。
UAによるみなさんの声は、世界中の声に加わり、最高裁を動かしました。大変、意義あることです。どこであれ不正が起こると声を上げなければなりません。このことを、今回も確認できました。
本件に関するアクションはこれで終わります。要請文を送付してくださったすべての方に感謝いたします。