9月29日、マナーマ高等刑事上訴院は2人の10年の判決を支持した。彼らはともに16歳である。2人はバーレーン刑法と反テロリスト法(2006年)により有罪とされていた。反テロリスト法には次のことが含まれている。「犯罪を犯し、治安を乱すため」に「警官殺害を企てること」、「主要道路上でタイヤを燃やすこと」、「巡回中の警官を攻撃すること」、「パトカーに火をつけること」、「違法集会を開くこと」、そして「火炎瓶の所持」である。
4月4日の第一審では、少年たちに禁錮10年が言い渡された。弁護士によると、有罪判決は強いられた自供に基づき、弁護士や保護者の立ち会いも無く、子どもたちは署名を強いられたと主張している。この「自供」は裁判中に撤回されている。子どもたちは首都マナーマから南約30キロにある成人用のジャウ刑務所に収監されている。刑務所では20歳以上の男性と一緒に第3ブロックに収容されている。
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サマルンさんとアル=モクダッドさん、さらに4人の成人男性に対する裁判は、2012年10月16日に始まり、今年の4月4日にマナーマ高等刑事裁判所で全員に判決が下された。裁判所に出廷した2人の少年と2人の成人男性は2012年7月23日にマナーマ西方のビラッド・アル・カディームでの反政府抗議行動中に逮捕された。最後に家族に会った時、子どもたちは拘禁中に殴打されたと訴えた。成人の1人は勾留中に暴行されたため、片方の鼓膜が破れ、背中に痛みがあると告げた。
過去2年間、現在行われている反政府抗議行動に関連し、多数の子どもたちが拘禁されている。他の行為に関連した罪とともに、彼らは「不法集会」、暴動、タイヤへの放火、巡回警官への火炎瓶の投擲等に加わったとして起訴された。釈放された者もいるが、現在でも多数の者が裁判にかけられているか、あるいは裁判にかけられず、調査中であるとして拘留されている。多くの場合、「自白」に署名を強制させるため、子どもたちは拷問か、虐待を受けていると伝えられる。別の未成年の事例では、刑法と反テロリズム法(2006年)により正式に起訴され、成人と同様に裁判にかけられ、禁錮刑の有罪判決を受けている。
バーレーンの未成年者に関する法律の条項は、法律に抵触する子どもに関連する条項を含めて、少年司法制度の国際基準を満たしていない。刑法(32条)は刑事責任を負う最低年齢を15歳としている。しかし、実際には最低年齢は7歳であり、これは国際的に受け入れられている基準に比べると極めて低い年齢である 1976年制定の少年法は未成年を15歳を超えない者と定めている。一方、国連子どもの権利条約では18歳に満たない者を未成年と定めているが、バーレーンも1992年にこの条約を批准している。2013年8月6日、国王が2つの緊急布告を出した。これには少年法の改正も含まれていた。これによれば、16歳以下の者がデモ、集会、座り込みに参加すれば、親に対して内務大臣が書面で警告することが明記されている。警告の6ヵ月後に未成年者が新たなデモに加わっていることが分かれば、父親は懲役か罰金、もしくはその両方が科せられる可能性がある。
刑事司法制度に抵触する18歳未満の者に対して適用される少年司法の原則には以下のことが含まれている。拘禁または禁錮は最後の手段とすること。この場合、定期的に観察し、できる限り短い適切な期間とし、可能ならば拘禁に代わる方法を模索する。独房監禁の禁止。拘禁施設においては成人の被収容者から引き離すこと。子ども特有の必要性に対し配慮すること。子どもの矯正と社会復帰を重視すること。
バーレーンで大衆暴動が発生して2年半が経過し、改革が始まったが、良心の囚人たちはいぜんとして収監されており、表現、結社、集会の自由の権利は抑圧されたままである。良心の囚人の中には抗議行動中に逮捕された人もいる。この数カ月、良心の囚人たちが釈放されないだけでなく、ツイッターや平和的な行進により自分の考えを表明しただけで投獄される人が増加している。バーレーンの裁判所は政府の方針に従うことを重視しているようであり、国民に対する実効的な救済策と法治主義の維持には積極的ではないように思える。
9月12日、欧州議会はバーレーンにおける人権と基本的自由の尊重を求める決議を可決した。いくつかの勧告の中で特にこの決議では未成年者の権利を尊重すること、成人の刑務所に収容しないこと、そして子どもの権利条約に従って処遇することを当局者に求めている。バーレーン自身も子どもの権利条約の締結国なのである。9月半ばには国連人権理事会で47カ国が共同声明に署名し、バーレーンで現在行われている人権侵害に強い懸念を表明した。