サウジアラビアでは女性が自由に行動できない制度や習慣があります。それを打ち破ろうと闘っている女性たちが、2018年5月以降、次々と拘束されています。
女性の運転禁止解除と、保護という名のもと女性を縛っている男性後見人制度の撤廃を求めていたルージャイ・アル=ハスルールさんも、一緒に活動していた女性たちと逮捕されました。彼女たちは「国家の安定と社会機構を転覆させることを目的に外国の組織と通じ、国家の安全を脅かした」罪に問われてしまい、20年の禁錮刑が科される可能性があります。
2020年5月で逮捕から丸2年がたちますが、ルージャイさんはじめ何人かは今も拘束されたままです。サウジアラビアではルージャイさんたちの活動が実を結び、長らく禁止されていた女性の運転が2018年6月、ついに解禁されました。しかし、最大の貢献者である彼女たちはその恩恵を受けることができずにいます。
【更新情報】2020年12月28日、ルージャイさんに5年8カ月の実刑判決が下されました。うち2年10カ月の執行猶予がついたため、これまでの拘束期間を合わせ、判決が確定すれば3月に釈放されることになります。しかし、不当な裁判によって、女性の権利を求めた平和的な活動が有罪とされたことには変わりありません。
サウジアラビア当局に対して、ルージャイさんたちに対する容疑を取り下げ、無条件でただちに釈放するよう、要請してください。彼女たちは、女性の自由を求めただけなのです。
逮捕されてから最初の3カ月間、ルージャイさんたちは独房に拘束され、家族や弁護士との面会も許されず、何人かは拷問や性的虐待などを受けました。
ルージャイさんたちの裁判は、2019年3月に始まりました。裁判は公開されず、ジャーナリストや外交官は入廷を禁じられました。女性たちは外国のメディアや活動家、アムネスティなどの組織と接触したこと、女性の権利を推進したこと、男性後見人制度の廃止を求めたことなどで罪に問われました。何人かの女性は仮釈放されましたが、無実とされたわけではなく、今後の裁判で禁錮刑を科せられる可能性が残っています。
女性を締め付ける男性後見人制度
サウジアラビアの女性たちの自由を阻む代表的な制度が男性後見人制度です。女性のさまざまな決定や行動について、夫や父親、その他の男性親族の許可が必要と定められています。
同制度は少しずつ緩和されています。2018年に大学で学んだり手術を受けたりする際に、後見人の許可が不要になりました。2019年には、21歳以上の女性は、後見人の許可なしにパスポートを取得できるようになり、結婚届、離婚届、出産届の提出にも、許可がいらなくなりました。しかし、結婚などはいまだに後見人の許可が必要で、許可が不要になったものでも実質は男性が決定権を握っていたりと、社会には男性支配が色濃く残っています。
一連の「改革」を推し進めているのは、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子ですが、一方で、その実現に取り組んできた女性たちを投獄しているのでは、真の「改革」とは程遠いといえます。
期 間: | この署名は終了しました。(2020年5月20日〜2021年1月末) |
要請先: | サルマン・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード国王兼首相、アブドルアジーズ ・ムハンマド・アルホワイリニ国家安全大統領府長官、サウジアラビア人権委員会 |